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とても綺麗で優しい人
五条先生にはちょっと勿体無い
誰もが口にはしないもののそう思っていた
そんな彼女がかつての姿を思い出せないほど
すっかり変わってしまった姿で現れた
「マジかよ。あれがAさんなのか？」
「異常な呪力に隠れてるけど
微かにAさんの呪力を感じるよ」
「そうなん？……全然わかんねぇや……」
「……なんでもいいけど
知り合いを殺るのはちょっと気が引けるな」
三人のことを認識しているかは分からない
ただAはじっとその3人を見つめて動かなかった
「Aさん、ご無沙汰してます。乙骨です」
「堕神憑きに何語り出してんだよ。
理解してるかさえ分かんねぇのに」
「堕神憑きって何!?」
素っ頓狂な声を上げる虎杖に真希は大きなため息をつく
「真那井家に纏わる伝説だよ。
禁術として滅多に出さない代物でその家の女しか使えない。
歴代の非業の死を遂げた女だけを集めて
神様の真似事させてる
恨みつらみ怨念たっぷりの曰く付きの薄気味悪い
いかにもなやつだよ」
「うわ…夏の特番でよくあるようなやつ…」
ゲッソリとする虎杖にただな、と真希は続けた
「その術は願いを持った本人の体に死ぬまで憑き
本人が約束を破るかあるいは寿命がきたら
そのまま自分たちの世界に引きずり込むんだよ」
大人しく聞いていた虎杖も
流石にこれにはギョッとした顔に変わった
「じゃあ…Aさん…」
「あぁ、死んでも死にきれない。
しかもあの様子じゃ自我もないだろう。
私達のことを分かってはないだろうな」
絶句した虎杖に真希もそれ以上何も言わなかった
「Aさん、僕は貴方の言葉に心が救われました。
覚えていますか?後悔するのはおやめなさい。
それはいつか大きな呪いとなってしまうわ、と仰った事」
Aは聞いているのかどうかは定かでは無いが
黙って立ち尽くしている
その周辺にはポイント欲しさに彼女に挑んだであろう
挑戦者達の亡骸が無惨にも転がっていた
彼女も髪を振り乱し、顔には返り血を浴びているのか
頭から足先まで血に染まり
かつての当主夫人代理として生きていた事など
到底想像できない程すっかり人間をやめた姿だ
「だから僕は貴方を殺すことを躊躇いません」
乙骨の言葉にもうちょっとオブラートに言え
と心の中で虎杖と真希は思うがそれを口にすることはない
「五条先生もきっと貴方を躊躇いなく殺せます。
けれど僕はそれをさせたくない。
夏油さんの事もあるのに貴方まで先生にさせたくない」
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