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常磐は静かに語り出した
「きっとこの方なら歴代の当主夫人に引けを取らない程
立派な奥方になって下さる。
悟様が大切に大切にされてきたA様の事は
私が命に代えてでもお守りしよう、と
そう心に強く決めておりました。
____それなのにこの私がA様を…」
常磐、違うわ
「ずっと守らねばならなかったこの私が……!
あろうことかA様の死を早めたなど……!!」
違う、違うのよ常磐
そう言いたいのに____
「これでは悟様にも顔向けができません……。
大切な方を連れ戻すどころか……死なせてしまうなど……」
ねぇ常磐、何をしてるの?
お願いだから自分を責めないで
「私を信じて側近にしてくださった悟様にもA様にも
このような仕打ち……この命で……償わせてくださいませ……」
それからの事はよく覚えていない
ただ目の前が真っ赤になり
いつの間にか私の着物が赤く染っていた
全部、私のせいだわ
私が早まったことをしなければ
私の側近は……
常磐は____
「あ゛ぁ゛ぁ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛っ」
私の中の糸がプツッと切れた瞬間だった
続く
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