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何かが
壊れるような気がした
私は今何を聞いたの？
今この人はなんて言ったの……？
このお腹の子は…悟さんの子供……？
「嘘……」
思わずこぼれ出た言葉に伊織さんは答える
「嘘ではないわ。そなたも薄々気がついていたであろう？
月のものから数えたら明らかにそこの若坊主のものではないと」
私と伊織さんの会話がどちらも私の口を使って始まった
伊織さんの言う通り、私は本当は何となく気がついていた
だから悟さんに夢を見せた、あの人に渡した式神を通じて
表向き私が死んだことになってることは知ってた
だけど悟さんにそれは違うと伝えたくて
獄門疆の中まで私の術が通じるか分からないけど
一か八かで夢幻術という夢を見せる術を使った
それがうまくいっていれば
あの人には私たちの子供という形で傑も含めて会ったと思う
お願い、助けて
もう私一人じゃどうにもならないの
私を五条家に帰して
そんな思いが届いて欲しい一心で
「そうとも知らず何を意気揚々と……旦那様……
ふふ、ふふふ、あははははは！！！」
私の声を借りて高らかに笑う姿は
怪談を連想させるほど恐ろしく
身の毛のよだつものだった
「良いですか旦那様。前にもお伝えしたでしょう。
真那井家の娘には呪いをかけています。
ですから貴方とこの娘が愛し合わなければ子は出来ないのですよ」
「……伊織…君って子は……
本当に……この世の誰よりも恐ろしい子だよ……」
その言葉に伊織さんはハッと鼻で笑った
「誰のせいでこうなったとお思いですか？」
悲痛な思いが声になって零れでる
堕神は真那井家の禁術の一つとして忌み嫌われていた
けどその反面、確実な力を手に入れられるとして
密かに支持をされている存在でもあった
真那井家の娘が昔から引く手あまただった
というのは本当なのだろうと思う
現に私も御三家を総ナメするかのように点々とした
禪院家は跨いでないけど、五条家のお陰で
けど裏を返せば
いざとなればその力を使おう
という魂胆もあったのだろうと思う
悟さんだけは違うと思うけど
他の人のことまでは分からない
呪力を持った子を確実に産めて
尚且つこんな爆弾のような力を隠し持ってるのなら
その家にとってはメリットしかないもの
そう思えば私はとても幸せだったと思う
本当に愛してくれる人を見つけたから
何しろここにいる堕神達は皆悲しい過去を持っているのだから
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