ごめんね、そして好きだよ 4 (ページ9)

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Recall 〜追想編〜五条悟ページ9

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遠い昔、Aが死にかけた事がある

その呪いはAと相性最悪で
匂いの中に毒みたいなものがあって
吸ってしまったから息が止まった(っぽい)

いや、Aだけじゃない
もう何人もの呪術師がその呪いで命を落としていた
そんな危険な呪いにも関わらず
まだ二級でしかなかったAが行かされた

僕がそれを知ったのは出張中の事だ

「聞いてないんだけど」
「てっ、てっきり五条さんはご存知だったのかと…」
「Aはまだ二級だよ？
一級ですら死んだ呪いの祓除に行かせたとか有り得ないだろ」

また嫌がらせか
そう思うと苛立ちが収まらなくて舌打ちをする僕と
段々と青ざめていく伊地知の地獄みたいな電話だった

「任務終わった後Aのとこ直行するから」
「で、ですが……」
「このままだとAが死ぬんだよ」

その言葉に伊地知のハッと息を呑む音が聞こえた

「婚約者が死ぬとか胸糞悪い嫌がらせされる身にもなってくれる？
真那井家と亀裂入れるのも困るんだよね」
「わ、かりました…」

じゃ、と隠しきれない苛立ちを残したまま
何かを言いかける伊地知の言葉も聞かずに僕は電話を切った

けど＿＿

「遅かったか」

僕が着いた頃にはそこは地獄と化していた

「思ってたよりだいぶ凄いとこだな」

薄暗く湿気が多いせいかカビのツンとした匂いに
思わず鼻をつまんでしまった
そんな退廃したような商店街の裏路地を入ってすぐ
血の匂いや腐ったような臭いが混ざりあい
おびただしい数の死体と血溜まりの中
懸命に口元を抑えながら何かを揺らす影が見えた

「Aさん！Aさん！」

それはAを現場に連れてきた補助監督だった

「A？」

僕が声を出すとようやく補助監督はこっちに気がついて
青ざめた顔で見てきた

「五条さん……ごめんなさい……
まさかこんな事になるなんて………」

そう呟く補助監督の先には
目を開けたまま動かないAが横たわっていた

「Aさん、息してないんです」

＿＿第1発見者は補助監督
聞けばなかなか帰ってこないから様子を見に行くと
そこで目を開けたまま倒れていたらしい

僕に謝り続ける補助監督の声は震えていた

「君のせいじゃない」
「ですが…」
「仕方ないよ。こういうことだってある。
被害者がたまたま僕の婚約者だったってだけで
呪術師には起きてもおかしくない日常だよ」

起きてもおかしくない日常

言い聞かせるように呟く僕に
補助監督は何も言ってこなかった

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