慶長御三家事件 ページ39
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※前回の投稿、分かりにくかった方申し訳ありません
人物紹介の前のページを追加し、歌姫の話は完結しております
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少し昔話をしようか
あれは400年くらい前だったかな
神力使いの娘を花嫁に貰った
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「殿」
「ん?」
「その…」
「もったいぶってないで話したらどうかな」
「お方様が殿にお目通りの許可をされに
すぐ目の前までお越しです」
家臣が言っているすぐ側でスパーン!と勢いよく襖が開かれ
豪華絢爛という言葉が良く似合う単衣を纏った女が
ズカズカと入ってきた
「許可する前に入ってきたね」
「……申し訳ありません」
家臣とそんなやり取りをして束の間
「いつまでも放置する殿がいけないのじゃ」
「やらないといけない事があると話しただろう」
ムスッとした顔で家臣には目もくれず
私に抱きついてくるのは当時の私の妻で名は梅といった
「それでも嫌じゃ」
「はぁ」
梅は気の強い娘で尚且つ我儘が目立っていた
「お梅殿、旦那様がお困りですよ」
その声を聞いた誰もが端の方に寄って頭を垂れた
「伊織…!」
障子を開いて現れたのは正室の伊織
この子が神力使いの娘だった
「伊織様…ご機嫌麗しゅうございます」
家臣達から挨拶をされる伊織の目線は
私の隣に立つ梅にあった
「旦那様の妻として、子を持つ母として、
もう少し見合った振る舞いをなさいませ」
「……御指南ありがとう存じます」
おっとりと話す伊織に対して梅はいつも好戦的だった
「伊織様から母という言葉が出ることには
少々驚きました」
「……私はこの家の全ての母です」
「そうですか。では母上とお呼びすべきでしたね」
それでは失礼します、と消えていく梅に
伊織ははぁ、とため息をついた
「お見苦しい所をお見せして申し訳ありません旦那様」
「構わないよ」
「梅は少々人付き合いが苦手なようで
早く私達に馴染んでくれると良いのですが…」
「あまり気を詰めなくていいよ。君の悪いところだ」
「申し訳ありません」
伊織は梅とはあまり仲がよくなかった
気の強い伊織と気の強い梅じゃそりゃ相性も悪いだろうけど
とにかく梅が好戦的で伊織に対してすぐ揚げ足を取る子だった
「ところで私に何か用かな」
「そろそろお勤めが終わる頃かと思い
お茶をお持ちしたかったのです」
「はは、気が利くね。ありがとう」
伊織の事は気に入っていた
私を真っ直ぐに思っていてくれる所も
私の額を見ても特段怖がらない事も
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