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〃 ページ37
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「歌姫さん」
「ん？」
「もし私に何かあったら
悟さんの力になっていただきたいのです」
渋谷事変よりひと月前
Aが改まって挨拶に来た事があった
「ちょ、やめてそんな硬っ苦しい」
私に土下座をするAにこの上なく焦ったし動揺したのに
あんたはそれを知らないでしょうね
「いいえそう言う訳にはいかないんです。
私にはもう神力はありません。
抑え込むことが出来ないんです」
「だからって＿」
「お願いします。こんなこと頼めるのは貴方しかいません。
恥を忍んでお願い致します」
今にして思えば
Aは何か違和感を持っていたのだろうと思う
「A、あんたのお願い、ちゃんと聞くわ」
見届けてくれるはずのあんたはもうこの世にいないけど……
「よりにもよって百鬼夜行の一年後にしなくてもいいのに
あんたの婚約者がそう指定したんですって」
今五条はちょっとピリピリしてて
ここにあんたがいてくれたらと思う事があるのよ
きっとあんたがいたら
五条のこのピリピリも穏やかにできるんでしょうね
ただ微笑むだけで
ただ両手を広げるだけで
このあいだ誕生日を迎えて29歳になったとは思えない男が
あんたにデレデレしながら大人しくなるのが容易く想像できるわ
どうしてこんなに神力使いの最期って
決していい終わり方と言えないのか知らないけど
あんたたち神力使いがこの先穏やかに暮らせるよう
呪術界が変わって行くことを信じているわ
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