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五条家の次期当主夫人、真那井A
五条家の第二権力者にして
五条悟の最大の理解者
そんな肩書きがつけば仰々しいけど
飽くまでもそれは肩書きでしかなくて
「たまに分からなくなるんです。
このままもし子供に恵まれなければ
私は何のために五条家にいるのか
正当な理由が見つからなくて」
婚約して五年がすぎた頃
Aは突然そんな事をもらした
どれだけ肩書きがあっても彼女を心底不憫に思えた
五条の恋心が理由で婚約させられたって話だけど
一向に妻として迎えて貰えずただ歳を重ねていくだけでは
五条を狙うその他の人間から標的にされるのは無理もなかった
けど、なぜ妻に迎えて貰えないのかなんて理由は明確で
だからって結婚を約束した以上それが言い訳にはならない
「あんたAがどんな思いしてるか知ってるの?」
「え?」
「いつまでも結婚してもらえない事がどれだけ辛くて
どれだけ笑いものにされてるかわかってんの?」
「Aが笑いものにされてる?
じゃあ笑うやつらに僕からの愛情見せつけたらいいでしょ」
「はぁ?」
「僕にはまじで勿体ないよね」
そんなAの事を五条はいつもそう言ってた
本当にそう思う
なんでこの子が?なんて思うことは沢山あった
でもAは違った
「あの人の力になりたいと思っても
隣にいるだけで私はその力を最大限まで引き出せないんです」
五条の隣にいる自分、を見出せずにいた
「まるで初めからあの人の傍にはいてはいけない気がして」
そう呟くAの横顔は憂いを帯びていたと思う
神力使いはその場にいる全員の呪力を半減させることが出来る
「呪力を抑え込むことは出来るのに
その力を増幅させることが出来ないんです」
呪力と神力は真反対の存在だから
「神力さえなくせば力を半減させる事は無くなるけど」
言いかけてAは口ごもった
____手を出してくれない限りその力は失くせない
公開処刑もいいとこよね
「堂々としてなさいよ」
それでも手放す気は無さそうな五条を見ていたら
言えたのはそれだけ
「私はいつあの人の役に立てるのでしょうか」
よく見るとあの子は泣いてた
上層部に何かを言われたのか
それともずっとそれを気にしているのか
いつもAはどこか自分を責めている気がした
五条の十分役に立ってるでしょうに
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