五条家の時期当主夫人へ 《庵歌姫》 ページ33
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御三家の正妻として神力使いの娘が嫁いだ歴史は長い
それは呪術界と共にあると言っても過言では無いほど昔に遡る
理由は簡単
神力使いの娘は
その体は確実に呪力の宿った子を産めるから
その理由だけで長い間御三家から重宝されてきた
歴代の各家の当主が神力使いの娘を迎えた例は多い
実際正妻がその家の出である御三家は歴代に多く
その間には何人もの子供が生まれていたという記録もある
でもそれと同時に神力使いは恐れられた存在でもあり
かつては呪術界ではあまり歓迎されてなかった歴史もあった
いつの日か希少価値の高いものとして扱われるようになるけど
正妻として迎えるために御三家同士で取り合いになり
御前試合となったこともあるし
最大の特徴であり最大の欠点である
人を殺すことが出来ない、が災いして命を落としたものや
神力使いは扱いそのものが困難で
自らでも制御ができず命を落とした者もいて
その歴史にはいつも血生臭いものも付き纏っていたという
更に
神力使いは道具にしかなれない
昔からそう言われ続けていた神力使いの娘は
男尊女卑という言葉が未だに存在するこの呪術界では特に
子供を産むためだけに過ぎなかった
Aはそんな歴史を背負いながら五条と婚約をした
五条家の妻になろうと狙う若い娘からは嫉妬と羨望の眼差しを
単純な憧れの領域で五条家を見るものからは憧れの眼差しを
様々な目で注目の的になったAは
その期待に応えるかのように
当主夫人としての頭角をすぐに現した
A夫人と世間からそう呼ばれるようになったのは
それくらいの時期からだったと思う
頭の回転が早く、切り返しがうまいことから
面白くない上層部が皮肉を込めてつけたというのは
あまりにも有名な話だった
卑劣で手段を選ばない上層部は
時にはAを殺そうとした事もあった
1度ではなく、何度も
その度にAは奇跡的にも助かって
今日まで生き延びてきた
「私が他の家の妻ならともかく
あの悟さんの妻になるものですから
これくらいイかれてないと」
そう言ってコロコロ笑うAは
ある意味狂気だと五条を潰したい側にとって恐れられていた
そんなAの口癖は
「後ろは私に任せて貴方はしたいことをして」
つまり、五条を自由にさせて
自分はそれを後ろから支えるということ
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