〃 ページ32
・
「悟さん、はいこれ」
「えー!?何これ?プレゼント?」
「それ以外に見えるなら眼科に行ってもらうわ」
「毎年律儀だねぇ」
「いいじゃない。誕生日だし」
「ふーん。開けていい?」
「勿論どうぞ」
どれだか仲が悪くても何故かいつも祝ってくれて
僕はありがとうも言わずにいたね
「ハンカチじゃん」
「うん」
「S.G」と白の糸で刺繍された水色のハンカチは
まるで僕の瞳と髪を連想させるものだった
「オーダーメイド?」
「ううん、手作り」
「まじ?」
正直手作りを貰うことに驚いたし
こんなに丁寧に作れたことにも驚いてたし
そこまでして時間を割いてくれたお前に
あの態度をとったあの頃の自分を殴りたいよ
「誕生日おめでとう」
「ありがとね」
そのあと僕がちょっと勇気出してキスしたら
お前ちょっと間抜けな顔してたよね
「なんて顔してんの」
「いやだって……」
「夫婦になるんだしたまにはスキンシップとっていいでしょ」
「……」
よくわかんないこと言ってないで
素直に嬉しかったって言えば良かったのにね
お前が尽くしてくれる度
自分の心がお前を好かだと気付かされて
誰にも気づかれたくなくて変なことしか出来なくてごめん
そのツケでも回ったかな
お前が記憶をなくすなんて分かってたら……
いや、タラレバは馬鹿らしいね
「この約束だけはちゃんと覚えててよ」
「?、勿論です」
深層心理が僕を覚えててくれるなら
表面心理のお前も僕との今日の会話を覚えてて
必ず帰ってくるから
そしたらまたプロポーズするから
僕の奥さんに絶対なってよ
嫌って言っても離さないから
飽きるほど愛してるって言うから
「またね」
次に会う時は全部素直に言うから
僕の帰る理由、帰る場所になって
・
242人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ