〃 ページ23
・
それなのにお前をひとつ知る度
傑がお前を好きになった理由が見える気がして
勝手にどんどん僕のテリトリーに入ってきて
覚えてる?A
僕とお前のファーストキス
上層部に関係疑われてお前から勢いよくしてきたの
本当お前には驚かされてばっかりだよ
でも本当はちょっと嬉しかった
それを言わなかったのは
お前への気持ちを認めたくなかったから
認めたら傑を裏切ることになる気がしてたんだ
ずっと否定しかできなかった僕を許して欲しい
「何烏滸がましいこと言ってんだか」
笑っちゃうよねA
お前は僕に与えられてばっかりって言ってたけど
与えられてばっかりだったのは僕の方だったよ
「私達は家族になるんです。
夫婦はお互いに補い合って、手を取り合って
一つの橋を渡っていく関係だと思ってます」
いつの日だったか、真夜中の縁側で言われた事を思い出す
「……きっかけがどうであろうと
私は五条家当主の妻になるんです。
ならば貴方の夢は私の夢__
それを叶える為に
いくらでも手を貸したいんです」
だったら__
「僕のそばにいてよ。お前がいないと叶わないじゃん」
もうお前以外を受け入れるつもりが僕には無い
後添いなんて要らないくらい僕の隣はお前がいいと思ってる
お前が五条家に一人で帰った日の事は常磐から聞いた
「っ!!A様……!!!」
僕が封印された後Aはすぐに戻り
「ぼ、坊ちゃんが……」
「御当主が……」
「えぇ、分かってます。落ち着いて、大丈夫よ」
慌てふためくあいつらを宥める事が出来るほど
落ち着いてたってね
そりゃ実家があの家で
マナーに煩いお前の母親が育て上げて
五条家でも花嫁修業させられたんだから
夫人としての器があるのは分かる
けど当主代理をどうするかとか今後について話し合う時に
僕に代わって全てを取り仕切ってくれたって聞いた時
本当に頼もしい存在だと思った
言いたいことわかる?
お前を奥さんに選んで正解だと思ったってこと
当主を失って混乱した五条家を取りまとめて
きっとAだって何かと不安だっただろうに
気丈に振る舞ってたってね
・
・
・
「当主のいない今
五条家がいつどこから攻められるか分かりません」
落ち着いた調子で、ただし緊張感のある声で
決して笑うことなくそう指示を出したAの言葉に
誰もが固唾を飲んで聞いていた
「当主自らが固めてくれた地盤です。
足を掬われることの無いように」
・
242人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ