ごめんね、そして好きだよ 4 (ページ19)

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「お買い得だったからとか言って買い込んでたから
ストックも沢山あってさ、それを知った僕の実家が
奥様のためにとかいってまた大量にかったからね…
実家も僕たちが住んでる家もこの柔軟剤だらけで
参っちゃうよ」

うっかり出た言葉に
五条さんは躊躇うこともなく答えてくれた

五条さんの奥様は五条家の人にとても大切にされていたんだろうな

「この匂い好き？」
「……なんとなく、懐かしい匂いだったんです」
「そっか」

そういうと五条さんは何故か私をぎゅっと抱き寄せた

あ、五条さんって細身なのに筋肉質なんだな
なんて考えながら服越しに伝わる体温に
不思議と安心してしまう自分がいて
状況を思い出してハッとした私に
五条さんは少し悲しそうな目を向けてきた

「ごめんなさい」
「ううん僕こそごめんね。
君を見てるとどうしてもあの子に見えて」

そう言って離してくれた五条さんに私は言葉を紡いだ

「奥様は五条さんに大切にされて幸せだったでしょうね」
「さぁどうだか。
僕の事は恨んでるんじゃない？」
「ないと思います」

どうしてか分からないけど
それだけは自信を持って言えた

「奥様はきっと五条さんと結婚した事を
心から幸せに思っていたと思いますよ」

「A、君が傑と結婚したのはいつ？」
「…え？」

そんな私に唐突に五条さんはそう尋ねてきた

「君は今いくつ……？」
「……16…」
「…そっか」

五条さんは一瞬目を見開いたけど
直ぐにその表情は元に戻り私に笑った

「何かあったらいつでも五条家においで」
「それってどういう意味なんですか？」

私の問いかけに五条さんは何も答えてくれなかった
ただ黙って私を見つめるその人は
どこか悲しげで、落ち着いていて
私が知ってる五条さんとは違っていた

「もしかしたら、これで会うのは最後かもしれない」
「えっ！？」

この人は急に何を言い出すんだろう
そんな思いから思わず素っ頓狂な声を上げてしまう

「クリスマスにね、ちょっと大きな仕事があるんだ」
「そうなんですね…」

なんでそれで最後になるか聞かなかった
聞かなくたって呪術界にいるなら
それが何を意味するかわかったから

「その前に君と話せてよかったよ」

それじゃあね、とその場を去ろうとするこの人の裾を
気がつけば私は引っ張って引き止めていた

「…何？」
「撤回して下さい」

首だけ振り向いていた五条さんは私の言葉に目を見開く

「最後だなんて…縁起が悪い事聞きたくない」

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