ごめんね、そして好きだよ 2

〃 ページ18

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「僕、ちょっと禪院家に電話してみようかな」
「…？なにをだ」


彼女の記憶に刷り込まれたものを聞き終わると五条はそう呟く
家入は心底不思議そうな顔を浮かべていた


「気になるじゃん。なんで結婚したのかとか
なんで遺体を引き取らなかったのかとか」


言うが早いか五条はすぐに禪院直哉に電話をかけた


「悟クン？急にどないしたん？」
「いやぁちょっと聞きたいことあって。
もう半年以上前の話だけど、君の奥さんの事」
「……あぁ……アイツがどないしたん。
そんな死んだ女の何が気になるっちゅうねん」
「あの子の忘れ形見って元気かなぁって」
「元気やで。年々あいつに顔が似てきて恐ろしいわ。
性格まで似られたらかなわんわ」


ふーん、そっか、と五条は口角を上げて返す


「ずっと気になってたんだけど
なんでAの遺体引き取らなかったわけ？
直哉。Aのこと可愛がってたじゃん」


勿論そんなのはったりである
ただ、なんとなくそうだろうと予想して問いかけた


「知らんわあんな女。
五条家の当主の命脅かした女やねんで。
御三家の仲をこじらせるような女用ないわ」
「そっか。本当にどうでもよかったんだ」
「……顔の綺麗な呪力持った子供さえ産んでくれれば
俺としては何でもええけどな。そう思わへん？
そやけどまぁAが笑ったとこ見た事ないわ。
あんな笑わへん女初めて見たで。
Aは俺にはちっとも笑わへん女やった。
気が向いた時にあれに土産買ってきてやってもや」
「Aだもんね」


あの子は僕の時も長いこと笑わなかったよ、
そう五条は思っていた


「あれが百鬼夜行の主犯と出来とったのは知っとる。
10年前に別れたはずやのに最後まであいつはそっちをとったんや。
そらおもろないわな。
ほんで節分の日に何を思たんかしでかしたんや
あんなんが俺の嫁やったなんか恥やで。
禪院家の墓に入れられるわけないやろ」


あいつはもう俺とはなんも関係ない


そう吐き捨てるように言う直哉に五条は口の端をあげる


「君のとこの子供が男の子でよかったよ。
女の子だったらAに似てるってだけで
どんな目にあうかわかんなかったじゃん」


そうしてケラケラと笑った


「でも良かったよ。ちゃんと可愛がってたみたいで」
「別に可愛がってはないで」
「意地張るなよ。まぁいいけどさ」
「なぁ悟クン」


直哉は静かに問いかける
「悟クン、俺悟クンのこと恨んでないで」
「……そ」
「甚爾くんの事もAの事も、ほんまに恨んではない」


ただ、と直哉は言葉を紡いだ


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