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「…なぜだ?」
「私の受験には、歴史は必要ありませんし。この期末考査の結果が大学に行くわけですから。しかも今日が期末までの最後の補習でしたよね」
淡々と話す。
堂々としていよう。
分かってくれるはず。
少し眉を下げて、先生は笑った。
「そうだな、終わろうか。来週からはもう帰っていいからな!」
「…はい」
自分から言ったのに。
なんだろう。
会える時間が減る。
寂しい。
なんで。
先生には恋人がいるのに。
大きく息を吸って、吐いた。
立ち上がって、帰る用意をした。
「じゃあ…」
「A!」
その時、両手をぎゅっと掴まれる。
私は力ずくで振りほどいた。
「なっ、なんでですか!?」
「え…?」
「キスしたり、手繋いできたり。先生、恋人がいるんじゃないんですか?!」
先生は何故か冷静で。
「…いないが?」
「っ…!?」
嘘をつくんだ。
今瞬きをすれば、涙がこぼれ落ちそうで。
私は部屋を出た。
ありえない。
嘘をついてまで恋愛をする人だったなんて。
なんか嫌いになりそう。
私は零れた雫を拭った。
荷物を置いてある教室へ駆け込む。
「あっ、Aちゃん!って!どうしたんだよ!」
「…善、逸」
善逸と伊之助が勉強していた。
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作者名:さな | 作成日時:2021年6月14日 21時