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翌日。
私は教室に入って早々、一目散に職員室に向かった。
「ふぅ…失礼します」
見渡すと、来ている先生は数人で、その中でも目立つ先生。
煉獄先生がいた。
「先生!」
「うむ!A、おはよう!」
「おはようございます!」
朝から先生に会えるなんて、幸せだなぁ。
ポケットに入れていたタイピンを取り出す。
先生のネクタイを見ると、タイピンがない。
やっぱり。
「あの、昨日駐車場で見つけたんです」
そう言って差し出した。
先生は目を見開いて、パッと笑顔になる。
「見つけてくれたのか!!」
「たまたまですよ」
「家で探していたんだ!ありがとう!!」
そう言ってぎゅっと私の手を握る先生。
神経が手に集中する。
熱い。
ドクンと脈打つ。
私は手を離した。
「じ、じゃあ!これで!」
「うむ!また授業でな!」
ピシャリと戸を閉める。
ヘナヘナと膝から崩れ落ちた。
「はあぁぁ……」
あの笑顔は反則ですよ、先生。
頬に手を当てる。
まだ熱が籠っている。
それから手を眺めた。
まだ握られた感触が残っている。
あの大きな手。
好きだなぁ。
「ん?何してんだA」
「へ?あっ、宇隨先生…!」
ガムを噛みながら私を見下ろす。
私は立ち上がった。
「なんでもないです!」
久しぶりに廊下を走って教室に戻った。
「ん…?何だったんだ」
「煉獄、おはよ」
「む!宇隨か!おはよう!」
「お、タイピン見つかったんだな」
「うむ!昨日は電話してすまない。先程、Aが届けてくれた!」
「…へぇ」
煉獄、絶対何かしただろ。
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作者名:さな | 作成日時:2021年6月14日 21時