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「「ありがとうございました」」


チャイムと同時に、終わりの挨拶の声。

まだいるであろう煉獄先生の元へ急ぐ。

廊下へ出ると、案の定立っていた。

まるで、私のことを待っていたかのように。


「来たな!ダンス見たぞ!」

「なんでいたんですか…」

「む!いちゃいけないのか!!」

「いやそういう訳では…」


持ってきていた水筒を開け、冷たいお茶を喉に流し込む。

乾いている時の潤いって最高。


「なかなか上手だったと思うぞ!」


口の中に含んでいるお茶を流し込む。


「…そうですか?」

「あのカーリングは尊敬した!」


スポーツ要素として、カーリングを入れたのだ。

あれはむしろダンスというよりも、ジェスチャーのようなものだ。

ほんと恥ずかしい。


「A、今日の補習を忘れずにな!」


あ。

忘れてた。

そうとは言えないので。


「…わかってます」


小さく返事をした。

先生の隣を歩くのが、最近自然になってきた。

でも、クラスの横を通ると、どうしても女子にチラチラ見られる。

陰キャには慣れないものだなぁ。

すると、どこかでバイブの音がする。

それはすぐに、煉獄先生の携帯だと分かった。


「む、ちょっと失礼する」


どうやら電話のようだ。


「もしもし、今仕事なんだが」


私が耳を澄ますに、相手は女性の声。

もしかして恋人なのかな。


「どうしてもか……わかった。約束は守るよ」


そりゃそうだよね。

先生モテるし。

恋人がいても変じゃない。

電話を切ると、先生と目が合う。


「すまない。今日の補習は無しだ」

「わかりました」


返事をすると、足早に去っていく先生。

補習が無くなった安心感。

だけど、軽く失恋した気分でもあった。


「…なんで好きになっちゃったんだろ」

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作者名:さな | 作成日時:2021年6月14日 21時

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