16 ページ16
「「ありがとうございました」」
チャイムと同時に、終わりの挨拶の声。
まだいるであろう煉獄先生の元へ急ぐ。
廊下へ出ると、案の定立っていた。
まるで、私のことを待っていたかのように。
「来たな!ダンス見たぞ!」
「なんでいたんですか…」
「む!いちゃいけないのか!!」
「いやそういう訳では…」
持ってきていた水筒を開け、冷たいお茶を喉に流し込む。
乾いている時の潤いって最高。
「なかなか上手だったと思うぞ!」
口の中に含んでいるお茶を流し込む。
「…そうですか?」
「あのカーリングは尊敬した!」
スポーツ要素として、カーリングを入れたのだ。
あれはむしろダンスというよりも、ジェスチャーのようなものだ。
ほんと恥ずかしい。
「A、今日の補習を忘れずにな!」
あ。
忘れてた。
そうとは言えないので。
「…わかってます」
小さく返事をした。
先生の隣を歩くのが、最近自然になってきた。
でも、クラスの横を通ると、どうしても女子にチラチラ見られる。
陰キャには慣れないものだなぁ。
すると、どこかでバイブの音がする。
それはすぐに、煉獄先生の携帯だと分かった。
「む、ちょっと失礼する」
どうやら電話のようだ。
「もしもし、今仕事なんだが」
私が耳を澄ますに、相手は女性の声。
もしかして恋人なのかな。
「どうしてもか……わかった。約束は守るよ」
そりゃそうだよね。
先生モテるし。
恋人がいても変じゃない。
電話を切ると、先生と目が合う。
「すまない。今日の補習は無しだ」
「わかりました」
返事をすると、足早に去っていく先生。
補習が無くなった安心感。
だけど、軽く失恋した気分でもあった。
「…なんで好きになっちゃったんだろ」
86人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:さな | 作成日時:2021年6月14日 21時