人の心は神に欺けぬ【刀剣乱舞】 (ページ6)

今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:15,693 hit

伍ページ6

「では最後に刀剣男士を具現化してください。」
「具現化……おいでませ、我が一振り…歌仙兼定。」

目をつぶり、語りかけるようにしてみた。本来なら呪文みたいなあれがあるのだろうと思いながら。
すると刀は光を放ち、思わず目をつぶってしまった。ゆっくりと目を開けると桜の花吹雪と共に一人の青年が立っていた。というか、あれで成功するのか。

「…僕は歌仙兼定。風流を愛する文系名刀さ。どうぞよろしく。」

「とまぁ、これが歌仙との出会いなわけだけど…。」
「あの時は驚かされたさ、君はもう戦に出たかのような傷だらけで全然雅じゃなかったからね。」
「これは私の不幸が招いた傷だ、気にするな。」

つい数時間前の短い思い出を語りながら歩く二人の行く先は本丸と呼ばれる場所。審神者が任務を、刀剣男士達が戦の休息を取るための施設だ。少女の住む現世、時の政府がいる未来のどちらでもない空間に存在している。そのため座標を知られない限りは歴史修正主義者に狙われることなく安全に過ごせる。審神者に就任の際、与えられるものの一つだ。

そして少女が決めた死に場所でもあるのは少女しか知らない。