弐拾伍 ページ26
「…。」
此処はどこだろう…。真っ暗で…何も見えなくて…でも見覚えがある…。そうだ、此処は…。
『そう、此処は君の世界。幸せのない世界さ。』
少女の目の前に現れたのは小柄な少年。黒い髪に黒い瞳、どこか奇妙な少年だ。
「っ!あんた誰!?歌仙は!?」
『僕はそうだなぁ…君達で言うところの神様、かな。歌仙とかいうのはいないよ、此処には君と僕しかいない。』
「神…、なんで私を!?歌仙達のところに返して!」
『あれ、あれれ?君はあそこへ戻りたいの?』
少年はずいっと顔を近づける。少年の瞳に光はない。見ているだけで吸い込まれてしまいそうだ。
「あ、当たり前でしょ。」
『本当に?あんな偽りの幸福を振りまいているだけの世界に?』
「そ、そんなこと!」
『だってこれは君がそう思っていたことだよ?他人からもらった幸福はすぐに壊れるってさ。僕も同感だよ。本物の幸福は決して他人からもらえない、自分自身で手に入れるものだ。』
少年は不気味な笑顔を見せつけ、少女に向けて手を差し出す。
『君の幸福を僕が与えてあげる。君の最大の幸福“この世界からの別れ”つまりは死を。』
「最大の…幸福…。」
『君がその最大の幸福を手に入れる方法はたった一つ…真名を差し出すことだ。君の真名を僕に差し出せばすぐにでも君を死なせてあげるよ。』
少年の笑みはさらに不気味となり、少年の言葉は少女の心を揺るがした。
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作者名:ごごねこ | 作成日時:2018年5月17日 11時