弐拾参 ページ24
薄暗く静かな室内。少女が自ら選んだ静かさ。
「…これでいいんだよね…人になりたての歌仙達が私のせいで不幸になるくらいなら私がこの世界にとどまって不幸を背負ったほうが…。」
「勝手に…僕達の不幸を決めつけないでほしい!」
「!」
障子に目を向ければ、そこには歌仙の影があった。息を荒げ、急いで来たのがわかる。
「っ…何しに来たの、私の許可なしに勝手に部屋まで…。」
「話をすり替えるんじゃない!僕達がいつ君に不幸だと言った!?」
「…私は死にたかった、でも私が死ねばあんた達も…だから私は…。」
「だから必要最低限しか関わらず、君はただの道具に成り下がろうっていうのかい…?それで僕達は人として生き、幸せになるとでも…?」
「っ…そうだよ!人として顕現してまだ数日のあんた達に私の我儘で不幸になってほしくないの!」
「僕達は君を不幸にしてまで幸せなんか手にしたくない!!」
二人は声を荒げる。
「何でわかってくれないの!?私はあんた達のために…!!」
「そんなの頼んだ覚えはない!!僕達は……僕の幸せは…君と一緒に笑うことだ!!上っ面だけの笑顔じゃない、本当の笑顔の君とずっと一緒に過ごしていたい!!」
「っ…そんなの無理に決まってるじゃない……だって他人からもらった幸せなんてすぐに壊れる…笑顔なんて一時的なものに決まって…。」
「なら!!」
バァンッ。歌仙は部屋の障子を蹴り破った。薄暗い室内に光が差し込み、少女を照らす。
「笑顔が絶えないように幸せを与え続ける。僕達が。」
いつの間にか薬研、燭台切、乱、清光、安定もその場に立っていた。
「大将。」
「主。」
「主さん。」
「主。」
「主。」
「…主。」
「「「「「「一緒に幸せになろう。」」」」」」
手を差し伸べる六人。その姿に、その言葉に少女の心の暗闇は引いていくような気がした。
少女は六人の手を手に取る。六人の手は大きく、暖かかった。涙を流し、少女はこう言った。
「ごめんなさい…。」
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作者名:ごごねこ | 作成日時:2018年5月17日 11時