検索窓
今日:2 hit、昨日:5 hit、合計:15,696 hit

弐拾参 ページ24

薄暗く静かな室内。少女が自ら選んだ静かさ。

「…これでいいんだよね…人になりたての歌仙達が私のせいで不幸になるくらいなら私がこの世界にとどまって不幸を背負ったほうが…。」
「勝手に…僕達の不幸を決めつけないでほしい!」
「!」

障子に目を向ければ、そこには歌仙の影があった。息を荒げ、急いで来たのがわかる。

「っ…何しに来たの、私の許可なしに勝手に部屋まで…。」
「話をすり替えるんじゃない!僕達がいつ君に不幸だと言った!?」
「…私は死にたかった、でも私が死ねばあんた達も…だから私は…。」
「だから必要最低限しか関わらず、君はただの道具に成り下がろうっていうのかい…?それで僕達は人として生き、幸せになるとでも…?」
「っ…そうだよ!人として顕現してまだ数日のあんた達に私の我儘で不幸になってほしくないの!」
「僕達は君を不幸にしてまで幸せなんか手にしたくない!!」

二人は声を荒げる。

「何でわかってくれないの!?私はあんた達のために…!!」
「そんなの頼んだ覚えはない!!僕達は……僕の幸せは…君と一緒に笑うことだ!!上っ面だけの笑顔じゃない、本当の笑顔の君とずっと一緒に過ごしていたい!!」
「っ…そんなの無理に決まってるじゃない……だって他人からもらった幸せなんてすぐに壊れる…笑顔なんて一時的なものに決まって…。」
「なら!!」

バァンッ。歌仙は部屋の障子を蹴り破った。薄暗い室内に光が差し込み、少女を照らす。

「笑顔が絶えないように幸せを与え続ける。僕達が。」

いつの間にか薬研、燭台切、乱、清光、安定もその場に立っていた。

「大将。」
「主。」
「主さん。」
「主。」
「主。」
「…主。」

「「「「「「一緒に幸せになろう。」」」」」」

手を差し伸べる六人。その姿に、その言葉に少女の心の暗闇は引いていくような気がした。
少女は六人の手を手に取る。六人の手は大きく、暖かかった。涙を流し、少女はこう言った。


「ごめんなさい…。」

弐拾肆→←弐拾弐



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.4/10 (20 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
27人がお気に入り
設定タグ:刀剣乱舞 , とうらぶ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ごごねこ | 作成日時:2018年5月17日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。