弐拾壱 ページ22
「さ、怪我してる人は来て。」
少女は人が変わったように歌仙達に優しく接した。
「あ、主。」
「何?歌仙兼定。」
「っ…何でもないよ。」
歌仙を歌仙、ではなく、歌仙兼定と少女は呼んだ。やはり少女は人が変わってしまったようだ。
「ああ、そうだ。薬研藤四郎、まだお礼言ってなかったね、手当の。」
「ん、ああ。いいんだ、それより…。」
薬研は少女に近づき、頬に手を添える。
「大将、どうしちまったんだ?今のあんたは心がないみたいだ。」
「…審神者をするのに心なんているの?」
少女の顔に笑みは消えた。そして淡々と語り始める。
「私わかったの。時の政府にとって審神者はただの道具でしかない。あんた達は道具だけど心を持った、でも私は人間だけど心を求められていない。滑稽だと思わない?」
「そんなこと…!!」
「歌仙兼定、薬研藤四郎、燭台切光忠、乱藤四郎、加州清光、大和守安定。本日より私の許可なしでの一切の接触を禁じます。」
「なっ…!主!」
「手入れの必要な者は後で私の部屋まで来てください。」
そう言い残せば少女は本丸内の奥へと消えていった。
動揺を隠せない六人。けれど歌仙だけはどこか冷静だった。少女が立ち去る前に聞こえたかすかな心の声が聞こえたからだ。
“ごめんなさい…。”
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作者名:ごごねこ | 作成日時:2018年5月17日 11時