38話 ページ38
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「ごめんね月夜!大丈夫??」
「中で遊ぶ??」
「ご、ごめんな、つい嬉しくて……」
素直な三人はすぐに謝り、息切れしている彼女の背中を摩った。
月夜は大丈夫だと言いたいのか、首を縦に振った。4人とも心配そうに下を向いている彼女の顔を覗こうとした。すると、タイミングよく彼女はばっと顔を上げた。
___彼女は笑っていた。
白狼以外の三人は彼女の笑顔を初めて見た。息が大分整ってきたのか、彼女は深く息を吐いた。そして、遠慮がちに一番近くにいる詩音の手を握った。
「!!どうしたの?詩音に何か言いたい??」
詩音はぎゅっと両手で彼女の手を包み込んだ。歌音と千冬も月夜の方を目を離さずに見た。
すると月夜は中庭を指さした。三人はその意味が分からず首を傾げた。
「…外で、遊びたい…??」
『!!コクコクッ』
白狼のセリフに三人は目を見開いた。
こんなに息切れしているのに、本当に平気なのかと心配そうに彼女を見つめた。でも、月夜の目は輝いていた。
家族だけでなく、友達という存在にも憧れていた彼女にとってみれば、こんな疲れなんてどうってことない。
もっと遊びたい、もっと走り回りたい、そんな月夜の気持ちが、子供の神様である詩音と歌音に伝わった。
二人は顔を見合せ、同時に白狼の方を向いた。
「月夜と詩音達で外で遊んでいい??」
「月夜は歌音達がちゃんとお世話するよ!」
「「お願い!!」」
珍しく真剣に物事を頼む二人に白狼は戸惑った。正直自分はすごく心配で、遊ぶなら中にして欲しい。
困っていると千冬も「お願い!!」と頭を下げた。流石に断れなくなった白狼はチラッと月夜の方を見た。
不安そうに自分を見つめてくる月夜。ここに自分の味方はいないと悟った白狼は「はぁ…」とため息をついた。
「わかったよ、遊んでおいで。でも、危ないことはしないでね。月夜も、無理しちゃダメだよ?」
諦めたように笑う白狼に、四人とも顔を輝かせた。今度こそ三人は走らずに月夜の手を優しく引いて遊びに行った。
そんな彼女達の姿を白狼は縁側に座り、静かに見守っていた。
そんな彼の隣に千秋と蘭が腰を下ろした。
「すまんな、弟が迷惑かけた。」
「いや、むしろ感謝してるよ。月夜も楽しそうだし。」
「ふふ、詩音達、相当月夜を気に入ってるようですね。」
「そうだね、よかったよ…。」
三人は走り回る月夜達を微笑ましそうに見ていた。
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鈴桜(プロフ) - めいさん» 夢主よかった……そして、白狼!!格好いい!!風の神様だからスピードが早いんですね。続き楽しみに待ってます (2020年8月18日 16時) (レス) id: 02b3e189b5 (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - 鈴桜さん» わあ、嬉しいです!刀剣乱舞じゃないのに、読んでくれるとはっ。頑張ります( ̄^ ̄)ゞ (2020年8月17日 19時) (レス) id: 6cecd18213 (このIDを非表示/違反報告)
鈴桜(プロフ) - 新作〜〜!!待ってました。どんな風になるかワクワクしながら読ませていただきます (2020年8月17日 19時) (レス) id: 02b3e189b5 (このIDを非表示/違反報告)
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