35話 ページ35
・
未だに少し慣れない食器を手に取り、ご飯を口にする月夜に、何人かが話しかけた。
「いやあ、にしてもそっくりだな…。あ、俺は千秋！んで、こっちは弟の」
「千冬！！よろしくな、月夜！！」
テンションMAXの弟に千秋は苦笑いをした。手を差し伸べてきた千冬に月夜はどう対応すればいいかわからなかった。
そんな彼女に気付いた蘭は見えるように癒生と握手をした。これを真似してと意味していることを察した月夜は恐る恐る千冬の手を握った。
蘭はうんうんっと笑顔で頷き、その光景を微笑ましそうに眺めた。
「月夜、二人は名前の通り秋の神様と冬の神様だよ。季節の中だとどれが一番好き？」
少しずつ妹のことを知っていきたいと、白狼はきっかけがある度にこんな風に質問をする。
もちろん他の皆も彼女のことをもっと知りたいわけで、答えを待っていた。
月夜は少し考えてから、指で1を作った。それはつまり四季の一番最初の季節、春を意味しているのだろうと皆は推測した。
「春が一番好きなのですか？」
少し離れた席に座っている、落ち着いた雰囲気の男性が話しかけた。
薄ピンクの長い髪を上で一つに纏め、男性だとわかるが、その美しさは女性にも劣らなかった。そして髪の毛よりも少し濃い桜色のような瞳。
月夜はおどおどしながらもコクっと頷いた。
すると男性は嬉しそうに彼女に微笑み、反対に千秋と千冬は悔しそうにムスッとしていた。こういう所がまさに兄弟だなと周りは思った。
「それは光栄です。僕は桜芽(おうが)と言います。察したと思いますが春の神様です。」
『(春の、神様………)』
彼女は暫く桜芽をじっーと見てから、他の人達に目を向けた。
他の人は何の神様なんだろう？夏の神様もいるのだろうか？皆に興味を持ち始めた月夜に兄である白狼は一番最初に気付いた。
「ふふ、誰か気になる人いる？」
『！！』
なぜ自分の考えていることがわかったのかと驚く月夜だが、せっかく聞いてくれたのでコクっと頷き、まず最初に千冬の横に座っている女性に目を向けた。
目が合ったと思ったら、女性は顔を輝かせた。
「お、やっと出番がきたか！んじゃ、自己紹介しよっと！」
色黒の肌でクノイチのような格好をしている彼女。女性と言うより少女と言った方が正しいのかもしれない。
千冬はげっと嫌そうな顔を向けるが、少女は無視し月夜の方を向いた。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 47人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鈴桜(プロフ) - めいさん» 夢主よかった……そして、白狼!!格好いい！！風の神様だからスピードが早いんですね。続き楽しみに待ってます (2020年8月18日 16時) (
レス) id: 02b3e189b5 (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - 鈴桜さん» わあ、嬉しいです！刀剣乱舞じゃないのに、読んでくれるとはっ。頑張ります(￣^￣)ゞ (2020年8月17日 19時) (レス) id: 6cecd18213 (このIDを非表示/違反報告)
鈴桜(プロフ) - 新作〜〜!!待ってました。どんな風になるかワクワクしながら読ませていただきます (2020年8月17日 19時) (レス) id: 02b3e189b5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
