33話 ページ33
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白狼の部屋に移動した彼女は興味津々な目で部屋を見渡した。
客間と同じく和室である。物は少なく部屋はより広く感じる。
大きな本棚にはずらっと本が並んでおり、その向かいの壁沿いには少し大きな引き出しが三つくらい重ねておかれていた。そしてその横には布団が綺麗に畳まれている。
「…ねえ、」
少し不安そうな顔で白狼は彼女に話しかけた。
彼女は振り返っては、首を傾げた。
「よ、よかったらさ…君の名前、僕がつけてもいいかな……？」
『！！』
驚く彼女に白狼は慌てて「も、もちろん嫌ならいいよっ」と付け加えた。だがその後すぐに落ち着きを取り戻し、少し悲しそうな顔をしながら口を開いた。
「ただ、名前がないと不便だと思って。……僕が嫌なら、蘭さんでも時和さんでも、癒生さんでもいいからさっ。」
本当は他にも理由がある。今までなんて呼ばれていたかなんて、白狼は想像もしたくなかった。きっと酷いものに違いないから。
大切な妹にはちゃんと名前を付けてあげたい。名前を付けることで彼女の存在をもう一度この世界に刻みこみたい。
" 名 " というのは神様達からすれば凄く大事なものである。
ﾌﾞﾝﾌﾞﾝ
彼女は首を横に振った。白狼は「そっか…」と、断られたことにショックを受けた。
だが彼女は慌てて白狼の手を握り、そうじゃないと否定するようにまた首を横に振った。
白狼は彼女の伝えたいことを理解しようと頑張った。すると、彼女は手を握る力を強くした。それに白狼ははっとした。
「皆じゃなくて、僕に、つけて欲しい……ってこと？」
どうやらあっていたようで、彼女は勢いよく何回も頷いた。
白狼はなんとも言えない喜びに浸り、思わず笑顔になっていた。
「僕っ、実はもう考えたんだ。君の名前を。」
白狼は嬉しそうに両手で彼女の手を握り直した。彼が既に考えてくれたことに驚きながらも、そこまで自分のことを思ってくれている白狼に心が満たされていた。
「" 月夜 " 。僕が君を見つけたのは満月の夜。だから月夜っ。どうかな？」
＿＿＿＿月夜(つくよ)
そう名付けられた彼女は涙を零し、嬉しそうに微笑んだ。
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鈴桜(プロフ) - めいさん» 夢主よかった……そして、白狼!!格好いい！！風の神様だからスピードが早いんですね。続き楽しみに待ってます (2020年8月18日 16時) (
レス) id: 02b3e189b5 (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - 鈴桜さん» わあ、嬉しいです！刀剣乱舞じゃないのに、読んでくれるとはっ。頑張ります(￣^￣)ゞ (2020年8月17日 19時) (レス) id: 6cecd18213 (このIDを非表示/違反報告)
鈴桜(プロフ) - 新作〜〜!!待ってました。どんな風になるかワクワクしながら読ませていただきます (2020年8月17日 19時) (レス) id: 02b3e189b5 (このIDを非表示/違反報告)
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