4話 ページ4
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「聞きたいことはそれだけですわ。貴方も疲れたでしょう?ゆっくり休みなさい、白狼。」
女性の優しい声に白狼と呼ばれる少年はほんの少しだけ落ち着いてきた。
だが、部屋から出る様子は一向にない。そんな彼を二人は不思議そうな見ていた。
「僕も、ここにいていい?せめてこの子が目覚めるまで……」
辛い眼差しを幼女に向ける白狼を見て、断れるはずもない女性は仕方なく了承した。
だがその代わり、手当の邪魔にならないように離れたところに居てもらうことにした。
白狼は大人しく男と共に壁に寄りかかって、手当の様子を見守っていた。
たまにちらっと見える傷だらけの体に白狼は湧き出てくる殺気を必死に抑えるように拳を握りしめた。
「……他の奴らはどうだ?」
「え、あ…目が覚めたら言ってって…」
「そうか。」
白狼はそんな彼の反応に、少し浮かない顔をした。
それに気付いた男は「どうした。」と聞いた。
「……ううん、なんでもない。早く目覚めて欲しいなって。」
「?…そうだな。」
白狼の反応に少し違和感を感じたが、男はそれ以上踏み込むことなく、その一言で会話を終えた。
暫くしてやっと手当が終わり、女性は一息ついた。よほど集中力を要していたのか、汗をかいており、疲れている様子だった。
そんな彼女を気遣って男は湯船に浸かって休めと勧めた。
「ではお言葉に甘えて。私がいない間、彼女をよろしくお願いします。」
「蘭さん、ありがとう。この子は僕達に任せて。」
白狼の言葉に安心した女性、蘭はニコッと笑い部屋を出た。
襖が閉まった瞬間、白狼は慌てて、かつ足音を立てずに幼女の布団の側まで行った。
そんな器用な彼を横目に、男もまたゆっくりと布団に近づき、腰を下ろした。
「ああっ、こんなに傷だらけで……辛かったよね…もっと早く見つけていれば……ごめんね、ごめんねっ」
涙目になりながら、幼女の手を優しく握る白狼。その目はまるで愛おしいものを見つめるような目だった。
白狼と幼女の関係はなんなのか、それは一部の人にしか知られていない。
そして、その一部には男、そして蘭も入っている。
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鈴桜(プロフ) - めいさん» 夢主よかった……そして、白狼!!格好いい!!風の神様だからスピードが早いんですね。続き楽しみに待ってます (2020年8月18日 16時) (レス) id: 02b3e189b5 (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - 鈴桜さん» わあ、嬉しいです!刀剣乱舞じゃないのに、読んでくれるとはっ。頑張ります( ̄^ ̄)ゞ (2020年8月17日 19時) (レス) id: 6cecd18213 (このIDを非表示/違反報告)
鈴桜(プロフ) - 新作〜〜!!待ってました。どんな風になるかワクワクしながら読ませていただきます (2020年8月17日 19時) (レス) id: 02b3e189b5 (このIDを非表示/違反報告)
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