28話 ページ28
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間もなくして蘭は例の人を連れてきた。やはり神様というものは皆美しい方達なのだなあと彼女は改めて思った。
前髪は切り揃えられ、腰まで伸びている濃い緑色の髪の毛。癖毛が無く真っ直ぐに整っている。琥珀色の目がまたとても綺麗だった。
凄く綺麗な女性だと彼女は思った。不思議と恐怖を感じない。
「まさか会ってくれるなんて、嬉しいよ。初めまして、癒生(ゆき)って言うんだ。女に見えるかもしれないけど、実際の性別はないんだよね。お姉さんかお兄さんかはお任せするね。」
『(せ、性別がない…?そんな事あるんだ……)』
確かに見た目の割には声が中性的である。例えるなら少しだけ高い、声変わりをしていない少年の声。それか少し低い女性の声だった。
「癒生は植物の神様なんですよ。いつも仲良くしてもらっていますわ。」
どうやら花と植物では神様も分かれているらしい。だが、その事よりも性別がないことに彼女は驚きを隠せなかった。
彼、いや、彼女?…癒生を男としてみればいいのか、女として見ればいいのか、今の彼女には決められなかった。
「ふふ、そんなに悩まなくてもいいよ。うーん、じゃあお姉さんだと蘭と姉役が被るし、お兄さんでどう?一応一人称は僕だからね。」
_姉役。
癒生のなんとなくの発言に蘭は思わずにやけてしまった。詩音と歌音も妹のような存在だが、二人は言うならお互いが姉であり妹である。
お互いをいつも頼りあっている二人は、妹という存在に頼られてみたいという願いを持つ蘭には少し違う様に感じた。
「いいと思いますわ!では私が姉、癒生が兄ということで決まりですねっ!」
流石花の神様、嬉しさのあまりに周りにどこから出てきたのか、綺麗な花が沢山舞っている。その現実離れした光景に彼女は釘付けだった。
癒生はそんな彼女に近付き、同じ目線の高さまでしゃがんだ。彼女は思わず後退りしそうだったのを何とか我慢した。
「これから宜しくね、可愛い妹ちゃん。」
パチンと指を鳴らすと、彼女の周りに緑色の光の粒が沢山降ってきた。
それは植物の神様、癒生の歓迎の証、そして彼女への小さな祝福でもある。
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鈴桜(プロフ) - めいさん» 夢主よかった……そして、白狼!!格好いい!!風の神様だからスピードが早いんですね。続き楽しみに待ってます (2020年8月18日 16時) (レス) id: 02b3e189b5 (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - 鈴桜さん» わあ、嬉しいです!刀剣乱舞じゃないのに、読んでくれるとはっ。頑張ります( ̄^ ̄)ゞ (2020年8月17日 19時) (レス) id: 6cecd18213 (このIDを非表示/違反報告)
鈴桜(プロフ) - 新作〜〜!!待ってました。どんな風になるかワクワクしながら読ませていただきます (2020年8月17日 19時) (レス) id: 02b3e189b5 (このIDを非表示/違反報告)
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