ひ ね く れ 兎 。【学校のカイダン】

□階段□ ページ7

今日は用事があった。だから、夏樹にマフラーを返して、軽く手を降って途中で別れた。

小さな公園、ここによく奴が出る。

あ「いない訳ー?」

周りを見渡して声をあげる。するとカサカサと草村が動いた。

「…ふう。久しぶりだな」



真っ黒の服に車椅子。オペラグラスが光に反射する。
車輪を回して近づいてくる

あ「久しぶり、雫井彗さん」


「フルネーム呼びはやめろといってるだろ」

あ「あはは、忘れてた。彗」

「それでいい」

彼の車椅子を押し、近くの小さなベンチに腰を下ろした。

「今日はなんだ」

あ「ただ会いたくなったから。てかさ、あんた学校で変態って話題になってるけど」

「ハァ?」

あ「警備つけられたらオペラグラスでも見えなくなるよ」

「それは困るなぁ、っておい」


彗の困り顔に思わず笑いがこぼれる

「今日は本当に何の用だ」

あ「…学校をそれで覗いてるなら知ってるよね」

彗が首から下げているオペラグラスをつつく

あ「新50代生徒会長就任。特別採用枠 春菜ツバメ。因みに春夏秋冬の春に菜の花の菜、ツバメは片仮名ですよー」


へぇ、そんなのも居たかな、と再びオペラグラスを覗く彗

「そいつがどうした」

あ「私らプラチナを壊しそう」


彗はワンテンポ置いてから凄い血相で叫んだ

「お、お前…何時からプラチナになった！！！」

あ「親の存在バレて昇格です」

彗は幼馴染みのような存在だ。親のことも勿論知っている。私が何故特別採用枠で編入したか、も知っている。よき相談相手って所かな←


「そうか…で、どうするつもりだA」

あ「夏樹の彼女だし、このままプラチナを保持し続けれたらいいな」

「お前は須堂夏樹のことが好きなのか?」


あ「好きだよ。全然夏樹には言わないけど」


「…ふはは」

突然口を押さえて笑い出す彗
その後車椅子を回し、私の正面に来た。
そしてこう言い残し、手を降りまた丘の上の家へ消えていった。



「Aがそいつのことを好きなら別に構わない。今を楽しむことが優先じゃないのか?

壊す守るより、自分を大切にしろよ」



彗の癖に心の底まで見透かしているのか
不本意だけど当たってるし…

ダラダラと公園を出て歩いていると、真横を通った1台のリムジンが目の前でゆっくりと停車した
暗闇に反射する窓が開く

「Aじゃないか、遅くにどうした?」

声の主は父だった

あ「ただ用事があって」

父は乗れ、とドアを開けた
リムジンに乗り込むと風のように景色が変わっていった

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