ひねくれ兎。【学校のカイダン】 (ページ3)

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□階段□ ページ3

夏樹の言葉に耳を疑った。いきなり何を言い出したんだろ。

波留「Aの眉毛がさっき動いた」

あ「は?」

波留「だーかーら、夏樹が可愛いっていった瞬間、眉毛が動いた」

確かに可愛いって言葉に反応したけど

あ「夏樹、あれ可愛いか?」

夏樹「可愛いじゃん?」

あ「ま、確かにボブって可愛いな。てか、スクバって絶対肩痛くなるじゃん」

夏樹は私を見て、Aはいっつもリュックだもんな、と笑い出した

あ「だって楽じゃん」
9人でぞろぞろと校内に入る

夏樹「楽だろうけど」

あ「スクバ重いし、ヘッドフォン出しにくいし」

美森「ちょっと待て、後者の理由笑」

あ「だって、出しにくいの嫌だし」

リュックの片方をおろし、前側に持ってきてカサカサと中に手を入れる

南「何探してるの?」

あ「携帯、朝から見当たらなくてさ」
音楽は別で聞いてるからよかったものの、連絡手段がなくなるのは困る
奥底にあるかと思ったが、なかなか見つからない
仕方なくリュックを閉じて背負い直した

ｴﾐﾘｰ「無いの?」

あ「ない」

玲奈「どーすんのー！」

あ「はぁ…しょうがない、iPodにアプリインソールし直そうかな」

はぁあ、と深い溜め息が出る。その時、不意に名字で呼ばれ周辺を見回した。

トタトタ、という効果音が合いそうな走り方をする生徒。遠くからでよく見えないが、特徴的なボブ。多分春菜ツバメだな。

「あ、あの、あ、赤城さん！」
私の前で足を止め、荒い息遣いを整える

あ「何。何か用件があるのならこいつを通して」
こいつといって隣にいる夏樹を指差す

夏樹「こいつって言うな、で? 俺のAに何の用かな、特サちゃん」
にやっと上唇が上がる

それに怯えているのか驚いているのか、彼女の顔は俯いたまま。

あ「その呼び方嫌」

夏樹「彼女なのが嫌な訳?」

あ「俺の、って要らないし」

夏樹「だって俺のだろ?」

あ「うん」

くだらない会話を遮って彼女こうは叫んだ。

「あ、あの赤城さんの携帯！！！」

そして手に握りしめていた携帯を前に出す。

「こ、これ、校門前にお、落ちてました」

前に出す携帯をすっと手から取る。黒いカバーケースに入ったスマートフォン。くるりと一周回す

あ「何で私のだと思った?」

「な、何か探しているのが見えて…」

あ「ご親切にどうも。後さ、名字呼びやめて。名前でいいからさ」

え、でも…と言葉をつまらせる彼女
私は彼女に近づき耳元で小さくこういった

「－特サ同士仲良くやろうよ」