ひ ね く れ 兎 。【学校のカイダン】

□階段□ ページ15

夏樹side

あ「玲奈」
名前を呼ぶと事を察したのか、Aの掌に飴を落とす

あ「飴で頑張る…」

頑張る、と本人は言っているものの、声に張りがなく何だか辛そうに思える。
どうやら腹が減るとテンションが下がるだけでなく元気が全部消えるらしい。


タクト「後でチョコレート持ってきてやるから元気出せって」
そう言って肩に手をかけるタクト
Aは珍しく嬉しそうに笑いかけた

タクトや陸と別れて教室に入る。途端に静かになる教室、話し声がまるでない。

あ「耐えらんないってぇ…」

突如弱気なAの言動にクラスの奴等の視線が集まる。
キッ、と奴等を睨む俺の隣で唸るA

あ「腹減った…もう1回玲奈に飴貰ってくる」

辿々しい歩きで教室を出る彼女に不安が募る。
数分後、少し元気になって帰った来た。手には数本の飴と四角い箱

それどうした、と聞くと嬉しそうに

あ「タクトがチョコレートくれた！」
語尾に音符がつきそうなくらい嬉しそう。
とにかく少し元気になったことにほっとする

箱を開けて美味しそうに口に入れる彼女がいつもの格好よさと違って可愛かった

---…

午前の授業が終わり、昼食時間になる。
ほら行くぞ、とAに声をかけると俺のジャケットの袖を掴んで走りながら2人で教室を出た

置いてきてしまった南と美森、そして陸やタクト達と合流し、階段を降りる

すると目の前には春菜ツバメと油森哲夫等生徒会がいた

夏樹「どけ」
俺の一言で皆が退く
そして順々に限定のステーキ御膳を買う

前は8つ限定だったのに本当に偉いなぁ、理事長
私がプラチナ枠になってから9つに増えたし。

何て隣でAは呟きながら硬貨を入れてピッ、と音を鳴らした
隣でえ、えぇえ?、と疑問符を並べる春菜ツバメ
それを無視してA達と特等席に移動する

あ「も、死にそうだったんだから」

夏樹「ゆっくり食えよ?」

俺の言葉を無視していただきまーす、と手を合わせる彼女。手には既にキラリと光るナイフとフォークが握られていた

ｴﾐﾘｰ「んんー、delicious！」

俺の目の前でステーキを口に入れ満足そうなA

波留「超幸せそう」

南「こんなA珍しいわね」


あ「あ、玲奈とタクト、ありがとね」
器用にステーキを切りながらそう言う

いいよいいよ、とフォークを振る玲奈
あれ美味かっただろ、と迫るタクト

あ「甘かったけど美味しかった!!」

タクト「美味しかったなら良かった」

タクトが有言実行って凄い、と方張りながら言うA

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