悪魔の娘と出来損ない (ページ19)

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１６話　サンジとの別れページ19

外は土砂降りで、未だに戦争は続いていた…。

「うわぁぁぁ～ん。」

(サンジ…ごめん。)

(私に出来ることは能力を使うこと…それしか、出来ない。)

サンジが部屋を走り去って行くのを見ながら、心の中で呟く。

レイジュside

サンジを見つけて、声を掛ける。

「サンジ！！」

サンジは泣いていた。

「あの船に乗りなさい！サンジ！男がいつまでも泣くんじゃないの！！」

「いい！？二度とここへ戻っちゃダメよ！！！」

「うん……！！」

「海は広い…いつか必ず、優しい人達に会えるから！！！」

「走れ！！！振り返るな！！」

「うわぁぁぁぁぁぁ！！！」

私はサンジが上手く逃げたか確かめに戦場になっている外へと出て、後を追いかける。

物陰に隠れて、レイジュと一緒にいるサンジの姿があった。

(レイジュと一緒にいたんだ。何か話してるのかな…？よかった…攻撃に巻き込まれてなくて。)

二人の様子を見ながら、敵が襲って来ないよう辺りを見ていると話し終わったのか、勢いよく泣きながら走っていったサンジを私は見逃さなかった。

気がつくと私はサンジの側まで駆け寄って叫んでいた。

「サンジィーーー！！！！！！」

「私も貴方と同じ夢…オールブルーを見つけるわ！だから、必ず生きて！！！」

「そして……」

伝えようとしてた言葉が詰まり…泣きながら、
違うことを言ってしまう。

『……わたしのことは……すべて忘れて……。』

隠していた片目が風に靡いて、赤色の瞳がサンジを捕らえ…私との記憶を全て消し去る…と同時に、今まで使うことのなかった【支配】の能力をかけてしまう。

＜＜……また会えたら、わたしを思い出して……＞＞

＜＜……そして、一緒に行こう！！！何があっても…絶対に、約束だから！！！……＞＞

伝えたい言葉を呟くように風にのせる……だけど……雷の音にかき消され、もう届くことはない……

　私はそう思い込んでいた……。

この時はまだ自分がサンジにかけてしまった能力のことを知らなかった。

その言葉が呪いのように彼を縛り付ける事になるとは知らずに…。