企画7 久遠のターン ページ24
それは、ある日の訓練のあとだった。
隊室に戻ってくると、当真先輩が寝ていた。
「っ…う………うぅ…」
まったく…ソファの上で寝るからうなされるんだよ…
「先輩、寝るならベッドで寝てください。」
先輩を揺すったけどまだうなされてる。
「う…ぁ…律華……」
え、
「律華…律華…律華…」
え、こわ…
「先輩…？大丈夫ですか？」
「いくな………行っちゃ…ダメだ…律華…」
怖い怖い怖い！いつもみたいなゆるい呼び方じゃないし…ちゃんと律華って呼ばれてるし…なんか…切羽詰まってるのかな…？
「先輩…先輩起きてください。」
何とか起こしたが…
「…………………夢か………」
冷や汗をびっしょりかいて、顔が真っ青だ。
「大丈夫ですか？酷くうなされてたみたいですけど？」
「………………律華…………」
大丈夫かな〜…
「律華…」
「何ですか？」
私は今気づいた。瞳が揺れている。不安げな、儚げな…そんな様子は見せないようにしてるんだろうけど…
「先輩？」
頬に触れようとした手を払われた。
「？」
「ご…ごめん…ちょっと…待って…」
切れ切れな返事。ふっと先輩は顔を背けた。
私は先輩の隣に座った。すると、先輩は私を急に抱きしめて
「ちょっと…いい？」
そう聞いてきた。ずるいな。
「どうぞ。」
私も抱きしめ返した。
「貴方が落ち着くまで…このままでいます」
「ありがと」
当真先輩の弱った姿を見たのは初めてだった。
「なんの夢だったんですか？」
「………よく覚えてねぇ…」
「そうですか」
ボーダー隊員と言えどみんなまだ中高生。思春期真っ只中だ。不安定な部分もあるのだ。
そういうところに改めて気づかされた。
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作者名：☆黒猫☆ | 作成日時：2018年9月26日 19時
