犬系男子な弟たちが強すぎる話 (ページ4)

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クソ女ページ4

Aside

『なぁ、自分が何言ってんのか、分かってん？』

思わず、声に出してしまう。

『最っ低やな。あんた』

目の前の母は唖然とした顔で私を見ている。私は母に刃向かったことなんてなかったから母のその顔は初めて見て、ほんの少し、スッキリした。

『ほんとに自分のことしか考えとらんのな。今あんた息子が聞いてんのに邪魔とか言ってさ、なんなん？ほんま意味分からへん。あんた恥ずかしくないん？こんな子供にでも分かるような倫理観備わってないんよ？頭大丈夫なん？』

「は、何言って…！」

『だからあんたが倫理観も道徳心もないアホって話しとるんよ今！それとも何？それも分からへん？』

母の顔がカーッと赤くなる。怒りでゴテゴテした長い爪が手の平に食い込んで、皮膚を突き破りそうな勢いだ。

「…っ！恭平、帰るわよ！」

怒りか、はたまた恥か、母は恭平くんの腕をガシッと掴んで引っ張った。よろける恭平くんにも構わずに、つかつかと逃げていく。それを私は走って追いかけて、後ろからぎゅっと恭平くんの手を握る。
すると母は驚いた様子で振り返った。その隙に恭平くんの腕を掴んでいた母の手を振りほどく。

『私の弟に触んな、クソ女！』

「は、はあ？！」

『あんたなんて母親名乗る資格無いよ！さっさと帰って！』

恭平くんをぎゅっと抱きしめてそう叫ぶと、バチンとクソ女に叩かれた。いった、まじでクソやな。

「言われなくても出ていくわよ！」

ヒステリックになったクソ女はこれみよがしに玄関の扉を大きな音をたてて帰って行った。ふん、もう二度と来んな！

恭「か、顔…」

出ていったあとも玄関を睨みつけていると、横から戸惑ったような、心配しているような声がする。

『あっ、ごめんね！顔は全然大丈夫！それより自己紹介してなかったよね、私、Aって言うの！今日から君のお姉ちゃん！』

不思議そうに頭を傾げられる。やっぱりちっちゃい子はまだよく分からないよね。

『恭平くん、優しいんだねぇ。今までずっと辛かったはずなのに、お姉ちゃんのこと心配してくれてありがとう。いい子だねぇ。』

思わずぎゅうっと抱き抱えてよしよしと頭を撫でると、

恭「おれ…いいこ？」

そう尋ねられた。その声は震えていて、もう一度優しく頭を撫でながら言った。

『うん。いい子。今まで頑張ったね。』

そう言えばとうとう泣き出してしまって、おさまるまでぎゅうっとそのままでいた。暖かい子供の体温を感じて、大事にしよう、なんて思った。