続 ページ8
お皿の上に乗せれば、白と柔らかな黄金色がなんとも美しい。
この色が見えなくなるのはなんとも惜しいが、私はあなたにソースとマヨネーズをかけて食さなければならない。許せお好み焼き。
白と黄金色が美しかった皿の上は濃いダークブラウンとつややかな白に上書きされる。その上に踊る鰹節を散らせば、もう完璧なお好み焼きの完成である。
彼女も用意が終わったようで、2人でいただきます、と手を合わせる。
箸を入れると、なんとも言えないふんわりとした感触。少し弾力のあるスポンジケーキみたいな、きめ細やかな柔らかさに、思わず断面図をじっくり眺めてしまう。
思い出したように口に運べば、熱さに負けない旨みと刺激が舌の上で弾ける。
まず最初に感じるのは生地のもっちりとしていながらふわふわな食感。次にお出汁と豚肉の旨みが同時に来て、ソースの刺激がそれらの旨味を促進させ、マヨネーズのまろやかさが全てを絡めて閉じ込める。
噛めば噛むほど素材の味もソースやマヨネーズの味も溶け合ってひとつになっていくような、不思議な感覚。
「めっちゃ美味しい…」
『いいなぁ、私も早く食べたいのに〜…』
思わず1人で美味しさに染み渡っていてしまったが、そういえばAさんは大のつくほどの猫舌なのであった。
出来たてほかほかの美味しそうな食べ物があるのに、決してそのままの美味しさでは食べられないことをすごく残念がっていた。
「もう大丈夫そうですけどね…さっきからずっと覚ましてたんでしょう？」
『でも！火傷したら嫌じゃん、』
ふう、ふうと必死に口元で冷ます彼女に抑えきれず笑みが浮かぶ。火傷したあとは舌が馬鹿になって味わえないから嫌らしい。私は舌を火傷したことがあまり無いから分からないのだが。
『ん、あふ、おいしい！』
意を決して口に運ぶと、口の中で転がしながらも大丈夫だったようで美味しいとにこにこである。
その後は目まぐるしくお好み焼きが焼けていき、食べつつ、焼きつつといった風に夢中でやっていくうちに、いつの間にか解き粉は無くなっていた。
『はへ〜完食〜…』
「やばい、何枚くらい食べましたっけ私たち」
『まぁまぁ、食べてもあんま太んないよ…多分。』
そう。彼女のお好み焼きの解き粉の元は、小麦粉が半分で、オートミールという麦をシリアルにしたものをもう半分に使っているらしい。ダイエットに最適だとされている。
「めっちゃ満足…ご馳走様でした。」
『お粗末さまでした〜』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 466人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
兎月(プロフ) - 飯テロすぎてお腹空きました…昼でよかったです、更新楽しみにしてます！ (2022年11月11日 14時) (
レス) @page9 id: 7834c17ca2 (このIDを非表示/違反報告)
Haru_00 - ご飯の描写がすごくおいしそうで飯テロくらいました…！夢主さんと社長の雰囲気とっても好きです…応援してます！ (2022年11月6日 0時) (レス) @page9 id: d04a74515a (このIDを非表示/違反報告)
錫也(プロフ) - 夜中に飯テロくらったー！！！くそ美味そう…少し早いですけどクリスマスとかでケーキ、もちろん買うのもいいんですけど！こう2人で和気あいあいと作ってるところみたいなー、とか思っちゃったりしてます…ご馳走様でした…… (2022年11月6日 0時) (レス) @page9 id: b3cb4375d4 (このIDを非表示/違反報告)
けい(プロフ) - タイトルに凄い惹かれ即読みでした笑リクで茹でるだけなのですが蕎麦とかどうでしょうか？（夢主ちゃんのアレンジでも良きですね✨） (2022年11月4日 5時) (レス) id: 3d722349bf (このIDを非表示/違反報告)
あばば(プロフ) - もしも社長に食べて欲しい料理やお菓子などありましたらコメント欄に気兼ねなく置いてってください！よろしくお願いします！ (2022年11月3日 22時) (レス) id: f4b98578cb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あばば | 作成日時：2022年11月2日 19時
