【fgo×犬夜叉】異世界のマスター紀行【クロスオーバー】

迷子になりました【アナ】 ページ4

……非常に不味いことになりました。
　あの人間らしき生命体が一緒にいることはまだ許せるとして。いえ、決して心を許した訳ではありません。他の方……アヴェンジャーなら薄々気付いているかもしれませんが、あの少女が厄介な存在という事。だけどその確証がどうも捉えられない。それはまだいいんです。
　遭難です。
　ええ、迷子とも言いますね。村に立ち寄ってはあの少女の事を聞いて、また別の村へ歩いているのですが……。
　一向に次の村まで辿り着けません。
　同じところをぐるぐる回っているような感覚に陥っています。
　それに、アキレウスが来なくなってからはや数日。
　アーチャーである巴御前は単独行動のスキルでしばらくは平気でしょうが、アキレウスはそのスキルが無いようなので少し心配です。
　でも、今は。
「マスター……」
　何日も歩きづめだったのが堪えたのか、それとも今まで隠していた疲れが一気に襲いかかったのか。突然倒れてしまったマスター。
　私たちに心配をかけたくないのはどうしてですか。私たちを安心させたいから？それとも信用ができないから？
　いきなり現れて、大勢の英霊から「マスター」と呼ばれたからでしょうか。
「バカですね」
　大バカです。そんな些細なことを気にしてどうするんですか。私は、私たちは貴方のためならなんでもするというのに。何も言わないで、「大丈夫」と言って倒れて。
　心配しないとでも思ってるんですかね、この人は。
　ため息を吐いて、洞穴の外を見る。
　ここはアスクレピオスとマーリンの作った簡易的な工房の中。
　マーリンの幻術によってここら辺一帯は何の変哲もない景色に、アスクレピオスの患者を守るための魔術工房(神殿)。患者であるなら危害を与えることのできない術式を組んだらしいのです。キャスターの考える術式とやらはよく分かりませんね。
　ここで待機しているのは、あの正体不明の神無と、エレシュキガル、アスクレピオス、私です。……まあ外にあのアヴェンジャーもいるわけですが、霊体化してるみたいです。
　マーリン、アーサー王、ギルガメッシュ王はそれぞれ情報を集めに外に出ています。まあこの手のものは、マーリンにとってお手の物でしょう。でなければ殺します。

　先程よりは顔色が戻っているマスターの顔を見て、少しだけほっとしてしまいます。ここに来る前、酷い夢を見たと聞いてます。それならば、今はどうかよい夢を、マスター。

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