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英霊憑依【NO SIDE】 ページ11

「……けほ」
 少しだけ咳き込むA。その脇にはキャットが得意気な顔をして立っていた。
 何はともあれ、傷を付けなかったという事実に、ギルガメッシュはため息を吐く。
「アタシじゃないぞ?」
「……だな」
 不服ではあるが、この英霊に護られたという事は本当だ。
「アタシの力をすこーしばかり、こう、な?ああしたのだ」
「意味わかんない……」
 土埃で咳き込むA。少し落ち着いたのか、自分の手を見ると硬直する。
「……んえ?」
 夢の中だけだと思っていた。本当に。心の底から。
「え??」
「うむ!適正はバッチリのようだな!」
「ちょっ、キャット、あの、ちゃんとした説明!!説明ください!!」
 わはは!とまたしても豪快に笑い飛ばすキャット。見兼ねたマーリンが口を開く。
「英霊憑依、とでも言うべきか」
「英霊……なんて?」
「英霊憑依。その名の通り、英霊が人間の体に憑依する事だ」
 マーリンはどこか諦めたような口振りだった。
 曰く。

 ──神霊や英霊になれないような存在が人間を依り代にして現界するのが、疑似サーヴァント。詳しくは省くが、デミ・サーヴァントというものもある。だが、それのどちらも人と英雄、どちらかの人格ないし、第3の新たな人格が芽生える少しばかり危険な召喚方法だ。
 だが英霊憑依はどちらの人格も残したまま、人の体で英雄たちの力を振るう。……今の君のように。

「僕とギルガメッシュ王は、君がその適正を持っていることを知っていた。だけどね、マスターくん」
 すっと、どこか悲しそうな顔でマーリンは続ける。
「僕たちは、君が戦闘の最前線に立つことを良しとしない。立つとしても、敵側に堕ちた英霊たちを正気に戻すその時だけ。そう決めていた」
「だから、さっきあんなに……」
 激昂した。初めて見るくらいに。私を視認できなかった程、許せなかったんだ。……でも。
「……初めて、通用しなかったんだよ」
 震えた声で、遅れてやってきた恐怖と戦いながら、
「借り物の杖だけど、宝具も撃てなくて、魔術なんて教えられた通りにやってもできなくて……」
 何もかもが恐怖という色に染め上げられ、それでも言われた通りに諦めないようにした時に聞こえた、何もかも吹き飛ばすような明るい声。
「……お願い、最前線じゃなくていい。私にも戦う力を教えて」
 堪えきれなくなった目から涙が溢れ出す。
 何もできないと思っていた。だからこそ、この力を使いこなしたいと、Aは確かに口にした。

歩み【NO SIDE】→←新たな戦い方【NO SIDE】



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夢陽炎(プロフ) - yosiakiさん» あげしておめでとうございます!今年もよろしくお願いします〜!(^-^) すいません、半分ほどノリで入れてしまいました笑笑 これから活躍してくれると思います!(他人事) まだぐだぐだと続きますが、よろしくお願いしますm(_ _)m (2021年1月17日 3時) (レス) id: 0641bc39eb (このIDを非表示/違反報告)
yosiaki(プロフ) - あけましておめでとうございます。続編ですか!!主人公の英霊にグっちゃんパイセンと理性がぶっ飛んだライダーがwww (2021年1月15日 19時) (レス) id: a7a468ee56 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夢陽炎 | 作成日時:2021年1月3日 2時

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