私達の<幸せ> ページ49
「…凜。」
「…ひなちゃん！」
純白のウエディングドレスを着た彼女を見て、素直な感想を述べる。
「本当にお姫様みたい。」
「ひなちゃんも綺麗…。」
「マーメイドにして良かったね。」
「でもお色直しにミニの方を着るのは、やっぱり恥ずかしいかも。」
そちらをミニスカートのものにしたのは、私の提案だ。
最初は凜に着て貰おうと思っていたのだけど、
彼女がかなり恥ずかしがったので二人共着る事になった。
試着の時とは違う美しさに、私はただ顔を綻ばせた。
「これから先の凜の人生を、私に下さい。」
高校生だった頃から十年程経って、
密かに買っていた指輪と共に言葉を捧げる。
「…私、今のままでも充分幸せなんだよ？
これ以上幸せになったら、私どうなっちゃうか分かんない…。」
どこまでも可愛い彼女を見ていると、
私が幸せにしなきゃと心から思えてくる。
「凜にはこれまで以上の幸せをあげたいの。」
「…やだ、私だけはやだ。
ひなちゃんも一緒に幸せになるの。
同じ位の幸せを、半分こしたいの。」
「じゃあ。」
涙に濡れた言葉が、彼女の口から紡がれた。
「…こちらこそ、宜しくお願いします。」
更に、出逢ってから暫くした後の頃に戻る。
「ふじのせんせい、こんどけっこんするんだって。」
「けっこんってなに？」
「えっとね、すきなひととずっといっしょにいるってことだよ。」
私の拙い説明に合点がいった様に、彼女がこう言ってきた。
「じゃあひなたちゃん、おとなになったらけっこんしようね！」
「りんちゃん、おんなのこどうしはけっこんできないんだよ。」
「え、そうなの…？」
泣き出してしまいそうな彼女に今度はこう言う。
「でもそんなのしなくても、わたしとりんちゃんはずっとなかよしだよ。」
その言葉に、彼女の顔がぱあっと明るくなった。
式場内の扉の前。
中がざわめいているのを聞きながら、小さな声で会話をする。
「言ったでしょ、皆来てくれるって。」
「説得してくれてありがとう。
ひなちゃんがいなかったら、私何も出来なかった。」
「どうしても凜と式を挙げたかったからね。
私のお嫁さんになってくれてありがとね、美南凜さん。」
「…まだ、実感湧かない。」
入場のアナウンスと共に扉が開く。
二人で前を向いて、バージンロードを踏み締めていった。
まさか私が、凜とするとは思わなくて。
でもこれは紛れも無く、私達の幸せ。
「私がお婆さんになっても、凜の事を守ってあげるね。」
「ひなちゃん。私の事、ずっと離さないでね。」
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