二人が出逢った頃の話 ページ42
私と凜は、気が付いた時から一緒にいた。
いつの間にか仲良くなって、それ以上の関係にもなって。
今では隣に彼女がいないと物足りなく感じる位だ。
すぐ隣で寝息を立てている彼女をそっと抱き締め、私も目を閉じた。
出逢ったばかりの頃は、彼女の方が活発だった。
他の男の子と一緒に戦隊ものごっこをしているのを今でも思い出す。
年度が変わって、彼らの輪に凜が入ろうとすると。
「インセクジャーやってるの?わたし、テントウピンクやりたい!」
「えー?おんながおれらのあそびにまじんなよ!」
「え、でもいつもあそんでたでしょ?」
「おまえはべつのとこであそべよ!
おれらのとこにくんなよ!」
「おんなのくせにおとこのあそびしてんじゃねえよ!」
いつも一緒に遊んでいた男の子達が、彼女だけを省き始めた。
拒絶されると思っていなかった彼女は、目に涙を浮かべて彼らを見た。
「またなこうとしてるよ、こいつ。
おんなってないたらゆるされるもんな。」
「ないてないもん!いっしょにあそびたいだけだもん…!」
これ以上は黙っていられなかった。
彼女の元へ駆け寄り、援護する。
「さっきからいいすぎだよ!
なんでこのこだけなかまはずれにするの?
なかまはずれはダメって、せんせいもいってたでしょ?」
「おとなみたいなこといってんなよ!
はやくどっかいけよ!」
「…おともだちをだいじにしないこなんか、だいきらい!
ねえ、あっちいこ!」
尚も強い言葉を使ってくる彼らに嫌気が差し、
彼女の手を取って彼らから離れる。
園舎の近くまで行き、彼女と隣同士に座る。
啜り泣いている彼女の手をしっかり握り直すと、こう切り出した。
「ひどいこといわれたね。
もうあのこたちとはあそばなくていいよ。」
「…やさしいね。えっと…。
ごめんなさい、おなまえ…。」
そう言えば組は一緒だったけど、二人で話すのはこれが初めてだったな。
「みなみひなただよ。」
「ひなたちゃん…?」
「うん。えっと、りんちゃんだよね。かわいいおなまえ。」
「ひなたちゃんも、かわいい。」
泣き止んだけど、彼女はまだ俯いたままで。
「ねえ、おままごとしよ。
わたしがパパやるから、りんちゃんはママね。」
「わたし、ママやっていいの…?」
「?うん。りんちゃんにママやってほしいの。」
間隔を空けて一言、分かったと彼女が返した。
目を開いて、あの時よりも美しくなった凜を見つめる。
あの時のおままごとが近い将来、現実になったら。
ずっと隣にいて、凜の事を守ってあげるね。
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