孤独を埋めてくれる人 ページ9
平日のお昼時、暗がりの部屋。
ご飯が入っていた器を部屋の外に置いてドアを閉め、
適当にゲーム機とソフトを手に取ってベッドに潜る。
ひなちゃんがいない時によくする事だ。
ゲームのBGMが部屋の空間を支配して、
私の心をその世界に連れて行ってくれる。
でも、ずっとこのままで良いのかな。
確かに楽しいけど、どこか寂しくも感じる。
途端に眠気が襲ってきたので、
ゲームを切りの良い所で止めてそのまま目を閉じた。
ひなちゃん、会いたいよ…。
それから数時間後。
目を開けた時には、私の部屋が明るくなっていた。
そっと体を起こすと。
「おはよ、凜。」
「…ひなちゃん?」
あれ、私まだ夢を見てるのかな?
「もしかして寝惚けてる?
あ、また電気も付けないでゲームしてたでしょ。
目が悪くなっちゃうからダメだって言ったじゃない。」
優しい笑顔のまま、ひなちゃんはそう言ってきた。
昨日も会ったのに何故か久しぶりに
会った様な気がして、思わず彼女に抱き着いた。
「…どうしたの。」
「……笑わないでね。
何でか知らないけどね、ゲームしてる時に寂しくなっちゃったの。
でもね、ひなちゃんにぎゅってしたら、
寂しいのどっか行っちゃったの。」
震える声で、彼女に私の想いを囁く。
彼女はそんな私の体を、そっと抱き返してくれた。
「そっか。
私もね、学校にいる間はずっと寂しかったんだよ。」
「友達、いっぱいいるのに?」
「友達と恋人は違うでしょ。
私だって、早く凜に会いたくて仕方無かったんだから。」
囁き返される彼女の声が、私の耳に甘く響く。
「早く会って、凜を感じたかった。
でも今は寂しくないよ。凜がここにいるから。」
体を少しだけ離され、彼女が私の首回りに両腕を絡めてくる。
私は彼女の腰に腕を回した。
「…ひなちゃん。
もし私を一人にしたくなったら、他に良い人を探して…っ!?」
言葉の途中をキスで塞がれてしまう。
すぐに離れたかと思うと、彼女が語気を強めて言った。
「馬鹿な事言わないでよ。
凜を一人にする訳無いでしょ…!?」
こんなひなちゃん、初めて見た。
「付き合い始めた時にも言ったでしょ?
凜を絶対一人にしないって。」
「……ごめんなさい。変な事言っちゃった。」
「…私も、強く言ってごめんね。」
あんな言い方したのも、きっと私の事を
好きでいてくれてるからなんだよね。
ひなちゃんの存在は、私の中では一番大きい。
もしも彼女がいなくなったら、私はどうなるのかな。
いや、答えは分かってる。
きっと私は…。
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