お家デートの醍醐味 ページ3
普段より少し大き目の鞄を持って、凜の家に向かう。
彼女の家に泊まる為だ。
二人で一緒にご飯を食べたり
同じベッドで寝たりと、楽しみは尽きない。
でも私の中での一番の楽しみは、また別にある。
…一つでも、気に入ってくれる物はあるかな。
部屋に入ってドアを閉め、内側から鍵を掛ける。
鞄を降ろした後に、目の前の凜を抱き締める。
「ごめんね、凜。バイトが長引いて遅れちゃった。」
「ひなちゃんに会えただけで嬉しいから良い。
…良い匂いするー。」
「シャンプー変えたの。凜は香水は苦手だって言ってたから、
好きそうな匂いのシャンプーにしてみたんだ。」
「ふふ。この匂い好きー。」
ああもう、本当に可愛い。
彼女の体からそっと離れ、鞄を開ける。
中から出て来たのは、家から何着か持ってきた洋服。
「これ、全部着なくなった服なんだけど、
幾つか凜にあげようと思って。」
言いながら、彼女に淡いピンクのパーカーを見せる。
「え、そんなの悪いよ…。」
「凜は素の時点で凄い可愛いんだから、いっぱいお洒落して欲しいの。
可愛いのを武器にしないなんて勿体無いよ。」
「…見せる相手、ひなちゃんだけだよ?」
「私はもっと可愛くなった凜が見たいの。」
そう返すと、彼女は顔を真っ赤にして私の首元に顔を埋めた。
そうして始まった、二人だけのファッションショー。
先程のパーカーに合わせるのは、白のキュロットスカート。
色白の彼女にはピンクが映える。
「脚が見えてる…。」
「でもさっきのスカートよりは恥ずかしくないでしょ?」
ちょうど良い肉付きの脚を見て、心臓の奥が微かに高鳴る。
マリンカラーのノースリーブを手に、話題を変える。
「こっちのも着てみて。長めの丈だから脚は見えないよ。」
着替えを手伝いながら、持ってきて良かったと心の中で呟く。
薄手の白いカーディガンを着せて、先程とは違う彼女が完成した。
「可愛い子は何着ても似合うなー。
気になったのあった?」
「…分かんない。私にはどれも可愛過ぎるんだもん。」
「そっか。でも、どれも似合ってたよ。」
「あ…、ありがと。
何でかな。ひなちゃんの服着るの、ちょっと楽しいの。」
「恋人の服だから?彼シャツの女の子版だからカノシャツだね。」
「これ、ノースリーブだよ?」
甘い会話に、自然と頬が緩む。
はにかみ合ってから、どちらからとも無く口付け合った。
後で何枚か、私の服を着た凜の写真を撮らせて貰おう。
彼女の部屋で過ごす私達だけの時間は、まだ始まったばかりだ。
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