Episode9 -4 ページ9
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友達の温かいメッセージに荒んでいた心にもふわりと温かな風が抜ける。
『それと…松本さんのこと、私は応援してますね』
続いて画面にそんな言葉が浮かんだ。
潤くんとの出来事は昨日の夜、そして今朝に報告済みだ。
最初から私と潤くんを応援してくれていた小梅ちゃんだからこそ、昨夜の連絡から間を開けない今朝の連絡には残念そうにしていたけど。
今の私は少しだけ今朝とは心持ちが違う。
『ありがと。大丈夫よ』
本音を言えば大丈夫じゃない。
だけど、挑むと決めたから。
『お父様の直談判することにしたの。ピアノも弾いてみせる』
すぐに小梅ちゃんからの返事は帰ってきた。
『そうですか。それでこそAさんです。Aさんなら絶対大丈夫ですよ！』
小梅ちゃんにそう言われると大丈夫な気がしてくる。
いつも、慎重な私の背中を押してくれるのは真っすぐな彼女の言葉だ。
少し、肩から力が抜ける。
早く会って話したいな。
『ありがとう、頑張る』
他でもない自分自身と、潤くんのために。
スマホから顔を上げると智くんがニコニコして私を見ていた。
「なに？」
「いや、Aちゃん、やっと笑ったな」
「……そうね」
言いながら笑みが浮かぶのがわかる。
このまま潤くんとさよならなんてしない。
どうなるかなんて手を伸ばしてみなければわからない。
今の私は、手を伸ばす力を持っている。
潤くんが見せてくれた自由な生き方が私にそれだけの力をくれるから。
「智くん、私頑張るね」
「……Aちゃんがやるって言うなら、俺は止めたりしねぇよ。好きにしな」
呆れたように言いながらも智くんはどこか嬉しそうだ。
気合いを入れるように、私はチャーハンをまた一口蓮華で掬い上げたのだった。
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2020年12月10日 17時
