Episode14 -6 ページ44
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それが今は違う。
今日、私はどうするべきか。
明日のために、今の私が出来ることは何か。
考えては行動を起こす。
いずれそれが未来へつながっていく。
誰もが当たり前に、ままならないながらも自力で行っているそんなことを潤くんに出会ってからの私は初めて自分の力で行っていた。
誰に言われたからでもない。
自分がやりたいから、レッスンをさぼって、潤くんに告白をして、家ではなくて潤くんを選んだ。
正しいことではないのかもしれない。
それでも、私の心は間違ってるなんて言ったりしない。
自分の力で切り開くことを教えてくれた潤くんだからこそ、私もちゃんと自分の力で潤くんに手を伸ばしたかった。
そんなことばかりが頭をめぐるのは流れていく都心の明かりが目に眩しかったからということにした。
ぎゅっとしがみつく潤くんの背中が、今は誰よりも信頼できる。
バイクは止まることなく街を駆け抜けた。
やがて見慣れた駅前や商店街を通過する。
久しぶりに戻ってきた別宅のある街だ。
私の別宅があるエリアとは違うエリアの住宅街をバイクは速度を落として進む。
しばらく右に曲がったり左に曲がったりを繰り返していたバイクはとあるアパートの前で走るのをやめた。
ヘルメットを取ると潤くんはスマホを手にしてどこかへ電話をかけ始める。
「あ、ニノ、着いた」
ここが目的地らしい。
潤くんの電話のすぐ後にアパートの入り口から和くんが出てきた。
手に持ったスマホから顔を離してポケットに突っ込む。
「いらっしゃい。遅かったね」
「途中で買い物してきたから」
ほら、と潤くんはコンビニで買った袋を和くんに押し付けた。
「多いな。あ、Aちゃん久しぶり。疲れたでしょ、おいで」
「バイクいつものとこ止めるぞ」
「はいはい」
「A先中入ってな」
「わかった」
和くんに付いてアパートの中に入る。
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2020年12月10日 17時
