Episode14 -4 ページ42
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潤くんはすでにお菓子を選んでレジの方へ向かっている。
今から急いだって変わるのは一分やそこらだろう。
潤くんが自信たっぷりに大丈夫だというなら、大丈夫なのかもしれない。
「あ、潤くん、お金出すよ！」
「いいよ。女には出させない主義だし」
「でも…」
「また次の機会にな」
潤くんはそう言うとさっさとお支払いを済ませてしまった。
いっつも払ってもらってばかりだからたまには私も潤くんにおごってあげたりとかしたいんだけど、潤くんは主義に反するらしく払わせてもらえない。
男の人ってみんなそう言うものなのかな。
残念ながら私にはわからない。
翔さんとデートに出かけたことなんてないし。
小梅ちゃんと一緒の時は当然割り勘なんだけど、それとは違うのかな。
「よし、ドーナツ食ってから行こう」
「うん」
私たちは店内のイートインスペースに腰を落ち着けてドーナツを食べた。
食欲があまりなかろうが慣れないことをした身体は甘いものを求めているようでドーナツのふんわりした甘さが身体にしみわたる。
「おいしい」
「ん、よかった。まだしばらく走るからちゃんと食っとけよ」
「うん」
潤くんは私と同じサイズのドーナツをたった四口で食べきってしまった。
慌てて次を口に入れる私を見ながら「急がなくていいよ」なんて笑ってる。
こうしているとただのお泊りデートみたいだ。
勘違いしてしまいそうになるくらい、空気が落ち着いている。
「それ食ったら行こう。ニノの家まで一気に走るぞ」
「うん」
最後の一口を口に押し込む。
ホットココアで流し込むと甘ったるい味が口の中一杯に広がった。
かなり甘いけどその甘さが今はちょうどいい。
重たくなりそうな頭に糖分がいきわたって少し元気が出てくる。
疲れたときにはやっぱり甘いものだ。
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2020年12月10日 17時
