ガールミーツナイト《ars/j.m/0830》 (ページ6)

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Episode2 手づくりクッキーページ6

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ホームルームを終えた教室はお嬢様学校といえど騒がしい。

名家や旧家、財閥などの令嬢ばかりが通うこの名星華女子学院高等科は私が初等部のころから通っている慣れ親しんだ場所である。

高等校舎の窓際の席からは正門がちょうど見えるのだけど、そこに何やら人だかりができていることに気が付いて私は前の席に座っている中学からの親友である小梅ちゃんに声をかけた。

「ねぇ小梅ちゃん、あれなんだと思う？」

「あれ？……あら、何か人が集まってますね」

二人で窓の向こうを覗いていたら教室のどこかから「正門にハイレベルなイケメンがいる」という情報が聞こえてきた。

いくらお嬢様学校でもみんな年頃の女の子である。

私は何となく先日会った松本さんの顔を思い浮かべていた。

すると突然教室のドアが音を立てて開かれた。

教室中の視線を受けた一人の生徒が部屋の中を見渡していたかと思うと私に視線を止める。

え、私…？

「上条さん、正門にあなたを待ってるって人が来てるわよ。彼氏なんていたの？」

「えぇ！Aさん、彼氏さんなんていたんですか？」

「いないよ小梅ちゃん。…何かの間違いじゃないの？」

「でも、相葉って執事を連れたお嬢様だって言うから上条さんのことでしょう？」

「……確かに私だね」

いくらお嬢様学校でも執事を帯同させている生徒はそう多くはない。

相葉という名字を持つ執事を従えているのはおそらくこの学校に私だけだろう。

内心首をひねりながら私は荷物を持って立ち上がった。

どのみちそろそろ智くんが迎えに来る時間だ。

「じゃあ小梅ちゃん、また明日」

「待ってくださいAさん、私も行きたいです」

興味津々の顔して付いてくる小梅ちゃんを連れて私は足早に正門を目指した。

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