ガールミーツナイト《ars/j.m/0830》 (ページ44)

今日:7 hit、昨日:13 hit、合計:74,232 hit

Episode7 -4 ページ44

.

あぁ、そうか、私はそんな些細なことが気になっていたのかもしれない。

潤くんと一緒にいることはきっと誰にも許してもらえないだろう。

「並んでいて絵になるのは櫻井さんかもしれませんが…少なくとも私には、松本さんと並んでいる方がAさんにはお似合いだと思いますよ」

「……小梅ちゃん」

もしかしたら、一番最初に許してくれるのは翔さんなのではないかとすら思う。

あの人はすこぶる私には甘い…というか、とにかく優しい。

いつも私の気持ちを優先してくれる。

パーティーから連れ出してくれるのだって、窮屈がる私のためだ。

けれどそれは、翔さんにとって不利益を生むことになってしまう。

上条と櫻井の提携は成されるべきだ。

私は叶わない初恋の人に、身勝手な理不尽を押し付けることをためらっているのかもしれない。

だけど小梅ちゃんのそんな言葉に嬉しくなる自分がいる。

「なーんて、小難しい言い回しをしましたけど、いいですかAさん」

軽く言う友人はしかしまっすぐと真面目な瞳で私を見ていた。

「いのち短し恋せよ乙女、ですわ」

わざとらしく上品な笑顔を浮かべながら小梅ちゃんは言う。

「……紅き唇褪せぬ間に…ね…」

有名な一説を思い浮かべながら、私はまたひとつ重たいため息を吐き出した。

.