ガールミーツナイト《ars/j.m/0830》 (ページ27)

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Episode5 王子様のようなページ27

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淡い青色のドレスがいいと言ったのは昨日潤くんたちと食べたあのフレーバーアイスを思い出すような色合いだったからだ。

普段基本的に雅紀に任せっぱなしの私がドレスの色を選択するという積極的な行動をとったせいか、雅紀が嬉しそうに私の意見を採用してくれた。

鏡の中に映るドレスアップされた自分は確かにお嬢様だけど、その後ろに二人の騎士の姿などはない。

「はぁ…」

スマホに手を伸ばして潤くんとのチャット画面を開く。

そこに共有されたプリクラの写真を意味もなく指でなぞってみた。

指の動きに合わせて画面がスライドする。

画像の下に浮かんだ「また連れ出してやるよ」という潤くんの言葉が憂鬱な気分をほんの少しだけ軽くしてくれるみたいだった。

パーティー会場は櫻井家が所有するビルの大ホールのようだった。

窓の外には大きなビルがそびえている。

「じゃあAちゃん、頑張れよ」

「ありがと、智くん」

智くんが開けてくれたドアから車を降りればそこには先に降りた雅紀が待っている。

「お嬢様、こちらへ」

「ええ」

雅紀に手を取られて会場へと進む。

相変わらずこの家の主催するパーティーは規模が大きい。

今日は確か傘下の会社…このビルがそうらしいけど…の創立十年だか十五年だかを記念するものらしい。

「それではお嬢様、私は櫻井家の皆様にご挨拶に行ってまいります」

「行ってらっしゃい」

まだパーティーは始まっていない。

始まるまでは目立たないように大人しくしているのが一番だ。

私は早々に壁の花を決め込んで会場の隅による。

早く雅紀が戻ってきてくれればいいんだけど。

しかしなかなかそうもいかないもので。

「こんばんは、上条のお嬢様」

「こんばんは」

パーティーが始まってからくればいいのに。

なんて悪態をつくことはできない。

文句を飲み込んで笑顔を張り付ける。

ええと、この方はどこの誰だったかな。

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