ガールミーツナイト《ars/j.m/0830》 (ページ18)

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Episode3 -9 ページ18

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目の前に停車した車から智くんが下りてくる。

「すみれちゃん、お待たせ」

「ごめんね智くん、来てもらって」

「これが俺の仕事だからな。Aちゃんになんかあっても困るし」

ちらりと智くんが潤くんを見たのがわかった。潤くんの切れ長な目が正面から智くんを見返す。

「俺が勝手に連れ出したんで」

「だろうね。……でもまぁ、うちのお嬢様が楽しそうなのは君のおかげかな」

「智くん？」

「ふん、俺はいいと思うけどな、外で友達と遊ぶのも」

友達と、という言葉を智くんは強調した。

潤くんが整った眉を怪訝そうに寄せたのを見て私はあわてて智くんに言う。

「ほら智くん、帰ろう。雅紀も待たせてるし」

「そうだな。あ、Aちゃん、悪いけど上手くかなかったわ、説得」

「……」

軽く言う智くんに私が言葉をなくすと潤くんが微かに笑う息を漏らした。

「ふ、じゃな、A」

「うん、また…潤くん」

帰ったら雅紀のお説教聞かなきゃいけないのか…と憂鬱になりながら私は智くんが扉を開けてくれた車の中へと乗り込んだ。

バタンと扉が閉められて車の窓を開ける。

「それじゃあ潤くん、今日はありがとう」

「おう。じゃな、お嬢様」

ひららと手を振る潤くんを置いて車が滑り出す。

その姿が角の向こうに消えるまで、私は車の後ろを振り返り続けていたのだった。

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