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思わず凝視してしまった俺を見たのか、樹は慌てて身体を起こし背中を向けてしまった。
「あ、あー…、きょ、きょも、ごめん、」
「大事にならなくて済んだよ」
「俺着替えて直ぐに戻るから」
「待って。」
平然とした様子で汚れた衣装を着直した彼は、早くトイレから出ようとした。
このまま行かれたら、俺は。
俺は誤解したまま嫌ってしまうだろうから、慌ててその腕を引いた。
勢い余ってよろけた樹の身体を抱き留める。
少し小さな背丈は俺の腕の中じゃ簡単に収まってしまう。
「樹、隠し事禁止。……って樹が言ったんだろ?」
飄々としていた様子も無く、腕の中の彼は小さく肩を震わせ始めた。
嗚呼、泣いてる。
「俺は、この関係が消化されるなら、悲しいから、隠し事は許す、けど…」
「そんな酷い隠し事してんの?」
「…だって、きょもは、女が嫌いじゃん、」
歯切れの悪い君はそうやって体を離した。
取れてしまっているワイシャツの第二ボタンの位置に指を差し込み胸元を見せつける彼の仕草は妖艶で表せる。
ついさっき凝視してしまった胸元は明らかに膨らんでいて、ずっと肋骨が浮いていた肌も少し柔らかそうに肉が付いている。
「後天性異性化症候群だっけ?」
「……俺は、突発性だけどね。」
苦しそうな声の彼は一足先にトイレを出てしまった。
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thhy - とっても面白かったです! (2月6日 18時) (レス) @page50 id: 69657aab33 (このIDを非表示/違反報告)
むらさきいも(プロフ) - 紅の三角#苺日和さん» 有難う御座います。スト初連載なので少々不安もありますが、更新頑張ります! (2019年5月8日 8時) (レス) id: d098632194 (このIDを非表示/違反報告)
紅の三角#苺日和 - きょもじゅり大好きです!!更新頑張ってください(・А・#)(・!・) (2019年5月6日 22時) (レス) id: ccec864579 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むらさきいも | 作成日時:2019年4月29日 5時