【逆ハー注意】男装腐女子の魔法科男子校潜入記【3】

149ねむ ページ50

「……へへ、わかった」

笑いながら了承すれば、エドは私から目をそらす。
これもきっとエドなりの優しさで、安心して私らしく入れる場所をエドは提供してくれるというのだ。

「で、整理するが……お前が女だと知ってんのは、生徒会と理事長を含む教師陣と、他は誰だ？」
「それだけ。あとはエドだけだよ」
「……俺が言うのもだが、お前よく女だって隠し通せたよな」
「あー、案外「男子校に女が入ってくるわけないよね」っていう無意識が仕事をしてくれるんだよね」

あとは私の変装が完璧ってところ！？ と自分を親指でさしながらどや顔をすると、エドに真顔でそれはねぇよって言われた。しかもまっすぐ目を見て言われた。
ひどくない？ こないだまで疑いもしなかったくせにひどくない？

その時、からりと控えめに保健室の扉が開かれた。
その向こう側からひょっこり顔を覗き込ませたのは、見知った双子、リクとカイだ。

「あ、ホノホノ！」
「元気そうなホノホノ！」
「リク、カイ、どうした？」

二人は私を見つけると嬉しそうに笑みを浮かべては、パタパタと駆け寄って勢いそのままに私に抱き着いてくる。両サイドから抱き着かれ、少しだけ息がうっと詰まるが、抱きしめる力は決して苦しいものではなかった。

「保健室に行ったって聞いて！」
「様子見に来たよ！」
「「エドエドもいる！」」
「だぁからエドエドって呼ぶんじゃねぇ！」

がぁ、と噛みつくエドに、双子はきゃっきゃと笑ってからまた私に視線を戻す。

「ホノホノ、オオカミと仲直りした？」
「なんか顔が嬉しそうだよ！」
「え、マジ？」

そういわれて自分の頬を触るが、言われてみれば少しにやけているかもしれない。
自覚してしまえば今度はへにゃりと表情をみっともなく崩して、私は笑いながら二人に答えた。

「ん、仲直りした！ 二人も相談乗ってくれてありがとな！」
「へー……」
「よかったねぇ」

そう言う双子の表情は、どことなく硬い。
何か引っかかるのだろうかと首をかしげていると、双子は思い切り顔を私のおなかにぐりぐりと押し付けてきた。

「ちょ、くすぐった、あははは！」

引っぺがそうとするが、さすがに男の力に勝てずされるがままだ。
その中で、ぼそりと双子が何かを口にした気がする。だけど気のせいかもしれなくて、それにくすぐったすぎてそれどころじゃないから深追いはしなかった。


――もうちょっとだけ僕たちだけのホノホノでいればよかったのに。

ね、とお互いを見て双子は嗤った。

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