【逆ハー注意】男装腐女子の魔法科男子校潜入記【3】

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驚きに目を見開くアルくんは、ポテトを取ろうとする変な格好のまま止まってしまった。
それが少し滑稽だったけど、笑う気分になれなかった私は黙々と食事を続ける。そんな私にたいし、アルくんは恐る恐るといった感じでリデルの方を向く。
だけどリデルはアルくんの方を見てフルフルと首を振って、最後の一口分のご飯を口の中に放り込んだ。

リデルの助けを得られなかったことに気づいたアルくんは、割れ物に触れるように私に尋ねてくる。

「えーっと、ごめんA……もしかして、地雷に触れちゃった？」
「うーん……」

本当に申し訳なさそうにこちらを覗き込んでくるアルくんに私も申し訳なくなって、はぁ、と一度ため息をついて頭を横に振った。

「ごめん、ちょっとした八つ当たりもあった。でも、地雷っていうのも正解。でもアルくんは悪気ないし、私が事前に教えてないからフェアじゃないし、気にしないで。ごめんね」
「いや、俺は平気。ま、召喚獣のこと大事に思ってるAのことだから、ちょっと考えればわかったよ。気を回せればよかったね」

そういって私の頭を、ポテトをつまんでいた手とは別の手でポンポン、と軽く叩いてから、優しく撫でてくれた。
初めて会った時の、笑顔で突き放してきたアルくんの面影はもうどこにもなくて、なんだかこんな場面なのに少し嬉しくなる。

「あの子を召喚できるからって、尊敬されるみたいな風習が大嫌い。正直親衛隊の子だって、ドラゴンの力を持て余してた。結局、ドラゴンを操れるに足る召喚士なんてこの世にいない。
私は、あの子に何かあった時、あの子が何かをした時、責任を持てない。

だから私は弱いって言ったの」
「——……うん」

アルくんは、私の話をちゃんと聞いてくれて、私が話している間もずっと頭を撫でてくれていた。
なんだか辛気臭い話になってしまって、私は切り替えるために使っていない箸で刺したポテトを、アルくんの口に放り込む。

「んむ、」
「よし、この話はおしまーい！ それより、打ち上げの話もっと聞かせてよ！」
「んー……んぐ、むぐ、……っふはっ、A元気〜。俺が予定してんのはねぇ、クルーズシップ貸し切って週末を海の上で過ごすか、ヴァーノンくんのリゾートヴィラで過ごすかって考えててー」
「ちょっ……っと待って、私が知ってる打ち上げと規模が違いすぎてついていけない」
「流石に御曹司の息子連れてカラオケなんて行かないでしょ」
「それはそう……！」

こいつら、金持ちだったわ。

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