【逆ハー注意】男装腐女子の魔法科男子校潜入記【3】

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「……A、お前、ドラゴンを……」
「そんな、馬鹿な！ お前なんかがドラゴンと契約を交わしてるだなんて！」

ワイバーンの召喚主である親衛隊くんは、その大きな瞳を見開きながら叫ぶ。

「こっちがどんな召喚獣持ってるかなんてどーでもいいんですよ！ とっととそのワイバーンを帰せってんだ！」
「っ……煩い煩い！ お前なんか、お前のドラゴンだって、僕のワイバーンに比べれば！」

あぁわからない奴だな。
顔が熱い。頭がガンガンとゴングを鳴らしてるように揺れる。血が上りすぎているのだろう。
私は大きな舌打ちをしてから、声を張り上げて叫んだ。

「血の味を覚えた召喚獣は処分されるんだよ！！ アンタの都合でこのワイバーンを処分するつもりか！？」

通常、人に手を出した召喚獣はいかなる理由をもってしても処分扱いとなる。
ペットと同じだ。人を傷つけたピットブルは、殺処分を受けることが多い。それが飼い主の躾不足にもかかわらず。
人間のために作られた、人間を守るクソみたいな法律だ。

先ほどのコロシアムみたいに手加減をした攻撃、殺意を持たない攻撃ならばその対象から外れる。それは戦闘訓練の一環として見なされるからだ。
だがこのワイバーンはすでに、人間を簡単に殺せるブレスを三発はなってきた。明白な殺意を、私に向けてきたのだ。

「今ここで引き返せばまだ間に合うかもしれない！！ お前みたいな人間のせいで、ドラゴンを殺す気か！！」
「黙れ黙れ黙れぇ！！ ワイバーン、あいつとそのドラゴンを叩きのめせ！！つぶせぇええ！！」

もう一度大きな舌打ちをする。
彼は、もう後戻りができないのだろう。ここまでやってしまったせいで、無駄にでかいプライドがやっぱりやめた、と口にするのを許さないのだ。

「……皆さん、拘束魔法(バインド)を解いてください。攻撃も、やめてください」
「は！？ A、テメェ何言ってッ……！」
「お願い、エド。こいつがどうなろうと、知ったこっちゃない。だけど、こいつの勝手な理由でこのワイバーンが処分される未来だけは」

その未来だけは、

「召喚士として、どうあっても避けたいんだ」

大丈夫。そう微笑みを向ければ、エドは渋々魔法を解く。それに従い、みんなも、ゆっくりと魔法を解いていった。

「……いつでもお前を守れるように、魔法陣だけは残しておくからな」
「……ありがと」

エドにそうお礼を言う。
それは多分、叶わないけど。

視界の端で、ワイバーンの影がゆらりと動いた。

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