【逆ハー注意】男装腐女子の魔法科男子校潜入記【3】

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瞬間、うめく声が私の背後で聞こえる。振り返れば、私を囲んでいた男たちは地面に伏していた。目を凝らせば、明らかに彼らのものではな影が地面をうごめいている。
その影に飲み込まれるように男たちのバンダナは地面の中へと沈み、気が付けば会長の手の中に納まっていた。
まだ暴れそうなエドをあわてて避難させ、私は会長へ向き直った。

「さて、遊ぶぞ猿」
「……ほかにもおいしそうな敵、基生徒がいますよー……？」
「バァカ、俺はテメェをぶちのめしたいんだよ」

……ですよねぇ。
ブラックドッグは会長と同じ闇属性だし、アルミラージでは歯が立たないだろう。会長は暗黒騎士、つまり光属性を召喚しなければ。
会長から目を離すことなく、足のつま先を地面に向けて深く埋め込もうとする。だけど、

「動くな」

びく、と私の足の動きが止まる。つま先が氷になったかのように冷たい。
……いつの間に。一瞬にして、私の足は会長から伸びる影に飲まれていた。

「……ばれましたか」
「お前の召喚の仕方は生徒会室で嫌というほど見てんだよ」

畜生、もう二度とあの部屋で魔法を使わない。
なんて意地になっている余裕も、今はなかった。

「円を描かなければ魔法は使えねぇ、そうだろ？」
「……」

そう、それこそが召喚士最大の弱点。

「投降しろ」

勝ち誇った会長の笑み。クソ悪役みたいな顔なのに格好良くて、私宛じゃなかったら興奮ものなんだけど。
背後で「会長サマーッ！」「やっちゃえー！」「その平凡負かしちゃえー！」なんてチワワたちの野次が盛り上がる。そんな声も萌えの材料なはずなんだけど。

今日だけは、
すごくそれを
崩したい。

私は気づかれないよう会長から見えない位置にある右手のひらに、中指を使って小さな円を描く。閉じた口の中でもごもごとパピヨンを呼べば、パピヨンは鱗粉を振りまきながら会長の周りを旋回し始めた。その鱗粉は人体に害がない、けれど

「っ……！？」

どうやって召喚したのか、と会長の動揺を誘っただけで十分だ。
すぐさま解放された足で円を描き、私は「フェンリル、手伝え！」と声高に叫び召喚する。フェンリルは光属性の狼のような召喚獣。つまり、会長の魔法とは相性が悪い。

「テメェ、今のどうやって……！」
「会長がわた、俺を倒すための手の内全部晒してくれるなら教えますよ？」

危ない。戦闘音だらけとはいえ誰に聞かれてるかわからない以上一人称には気を付けないと。自分にそれを気にする精神的余裕があることに安堵。

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