【逆ハー注意】男装腐女子の魔法科男子校潜入記【2】

95ねむ ページ46

ぱたぱたと駆けてくる二人を、私は首をかしげながら待つ。

「どうしたの、カイ、リク」
「ひ、ひえっ、カイ様、リク様！」
「見てこれ！」
「ナイスショットでしょ！」

そういいつつ見せてきたのは、彼らが構えていたカメラ。
写っているのは言わずもがな私。だけど。

アルミラージに引っ張られながらフリーフォールよろしく落ちる私を収めたカメラは、見事に私のパンツを写していた。
運よくこのアングルからは、私が女子であることがばれることはなさそうだ。かなりぶれているし。

「今すぐ消せ！！！」
「これだけじゃないんだよ！」
「まぁパンツはこれだけだけど！」
「これもいらんわ！ 消せ！」
「見てみて、どのアングルからとっても」
「Aが女の子にしか見えなくて！」

確かにそれ以外の写真では私が真面目に運動会を頑張ってる姿が収められている。
黒髪をひらめかせ走る私はどこからどう見ても女子だ。だって生物学上雌ですものね。

「これ、大神に売ってくる！」
「高値で売ってくる！」
「いやエドいらんだろそんなもん」
「「10万は固い！」」

風のように去っていった双子を眺めて、私は深いため息をつく。
隣でディーンくんがいまだにあわあわしていた。

「ごめんね、ディーンくん。ビビっただろ」
「い、いえ！ す、すごいなぁAくん……あんな学園の大物と対等にお話ができるだなんて……」
「まぁ、生徒会に抜擢されてから毎日周りが大物だらけだからね、さすがに麻痺したわ」

苦笑すると、ディーンくんが確かに……と相槌を打ってくれる。

「で、さっき言いかけてたことって、なんだった？」
「あ、そうだ！ 僕、このあとのバトロワに参加するんです！ 一応よろしく言っとこうと……」
「おーそうだったんだね。これはご丁寧にどうも。こっちこそよろしくな！」
「はい！」

ディーンくんとはそこでお別れして、私はさくっと着替えてテントへと戻る。
にしても二位か。なかなか残念だな、それなりに勝つつもりでいたんだけど。

「お疲れ、A」
「お……テオフィール様？」
「大丈夫だ、周りに誰もいない」

くすくすと笑うテオ先輩に、あは、と私も笑う。

「どうもです、テオ先輩ー」
「すごいな、女装。様になっていたぞ」
「……誉め言葉として受け取っておきますけど？」
「立派な誉め言葉だ」

そうには聞こえないんだけどな、とむくれっつらで見ると先輩は楽しそうに笑っていた。
そういう顔をすると、やはり年相応に見えるんだよなぁ、テオ先輩。

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